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短編

お婿さん

よろ 2016年10月8日
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従妹のところに来たお婿さんがまた出ていきました。 従妹は地方に住んでいて、再婚。次女だけど自営業と田畑の後をついで立派に本家を盛り立ててくれていた。しかし、跡取りだからどうしても、入り婿さんになってもらうほかなくて、なんとかお見合いで結婚したんだけれど、最初の婿さんは一年も持たなった。 本家にはいろいろ人の出入りがあるし、何しろ山の上だから、送り迎えは序の口、隣近所の買いものまで頼まれる。そして、何より、行事が多い。花見に夏祭りに地蔵盆に、お墓参りともなれば、親戚のお接待も多い。ささいなことだけれども、溝の掃除や村内清掃活動や、小学校の見守り隊なんかにも組み入れられて、ほっと息をつく間もない。それに、顔が広いから交際費もかかる。 本家は土地持ち、山持ちだけど、現金は少ない。婿さんは、公務員だったし、実家も駐車場を持ってたりと地代収入がかなりあったんで、どうにか一年はもったんだけど、婿さんの親がもう仕送りには限界、といって、離縁を申し出てきた。気が付いたら、婿さんのところは実家周辺の土地も全部売り払ってしまって、遠い地に家を買っていた。従妹のところの本家と切れたらここでは暮らせないが、新しい、しがらみのない土地でなら細々と暮らしていけるという算段だ。 確かに従妹のところは、交際に費用がかかるし、いろいろ面倒だと思う。だけど、誰かが盛り立てなければ村に誰も帰省してこなくなるし、人も寄り付かなくなる。僕ら親戚は婿さんの家族を恨んでいろいろ嫌がらせをしたんだが、なしのつぶて。なんでみんなのことを考えてくれないんだろう?本家の支援がなければ、夏祭りの神輿だって、地蔵盆のお接待だって、村のみんなが楽しみにしている行事ができないではないか。この村で育って、みんなによくしてもらってきたのに、ここの掟に従えないなんて、あんまりだと思わないか?ただ、耳に残っているのは、婿さんの親の捨て台詞だ。「神輿のある村にもう婿へは絶対やらない!」ってな。食いつぶされるってさ。へ、何だよ。

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