
うちの社員食堂での話。
社員食堂ではビュッフェスタイルで、セルフサービスで食べたいものを皿に盛り付けて持っていくようになっていた。
社員食堂での食事代は毎月定額制で決まった額を給料から差し引かれるようになっていたが、どこかで外食したり買ってきたりするよりはずっと廉価なので、社員食堂を利用するかも任意だし利用者は文句なし・・のはずだった。
うちの社員食堂では昼休みの始まる時間は同じだが、列に並ぶのは役職や年功序列であって新入社員などは先に食堂についても、他の先輩社員が並んでから並ぶという暗黙のルールがあった。
先輩社員が全員並び、そして一番年数の若い私たちが並ぶ番になった。
私の2つ前は2年目の若い男性社員で、私のひとつ前は60才を超えた契約社員の女性だった。彼女は定年退職後にうちの会社に来て、前の会社ではそれなりのキャリアだったらしいが、うちの会社では一番後輩なので社員食堂ではいつも先輩社員に順番を譲っていた。
女性は普段の仕事は勿論、社員食堂でもいつもニコニコしていて、どんなに待たされても文句ひとつ言わなかった。キレるとか我儘とかいう言葉からは最もかけ離れた女性のはずだった。
社員食堂のビュッフェで好きなものを取っていくが、私たちの前の2年目男性たちは
「ここの唐揚げうまいッスよねー。」
「そうそう去年は俺たちが下っ端で唐揚げが残ってないこととかあったんスよ!」
「同じ金払ってるのに不公平ッスよねー。」
学生の延長みたいな感じで騒ぐ2年目社員たち。
それでも年配女性はニコニコしていた。
そして唐揚げを取るところで、男性社員たちは3個以上は皿に乗せていた。
ビュッフェに残る唐揚げの個数から考えると、1人1個ずつにしても唐揚げが全員に行き届かないことは明白だった。
そして、年配女性のひとつ前にいる男性社員は唐揚げが残り2個しかないにも関わらず、2個とも皿に乗せた。
年配女性の目の前で1個も無くなってしまった唐揚げ。
このときも年配女性は顔色ひとつ変えずにしていたが、笑顔はなく何か違う雰囲気があった。
私たちは唐揚げを諦めて、他のおかずを取りテーブルについた。
私は、その年配女性が唐揚げをはじめ鶏肉が大好きだって聞いたことあるので気の毒に思っていた。
そしてしばらくすると、
「唐揚げお待たせしました!」
食堂の女性スタッフの声が聞こえ、揚げたての唐揚げが運ばれてきた。
年配女性はホッとしたように唐揚げを取りに行った。
だが、そこに若い男性社員が殺到!
後日談:
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