
短編
赤ちゃん
匿名 2日前
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私には4歳になる息子がいます。
ある夜、就寝前のトイレを済ませた時、急に息子が話し始めました。
「あのね、車の中でね赤ちゃんのおばけにあったよ」
夫は所謂、霊感のあるタイプなので、息子にも 若干その気配があります。私は、内心驚きつつも「赤ちゃんに会ったの?」と聞き返してみました。
「前に行きたいって言って泣いてたよ」
息子のチャイルドシートは、運転席の後ろです。前に行きたいっていうのは、恐らく前の方に座りたい、もしくは運転席(私)のほうに行きたいということなのかな。と思いつつ、私は「けど、赤ちゃんだから、前には座れないね」と返しました。
「うん、だから、赤ちゃん僕のところに来てかわいかったよ」
そう言いながら、息子はニコニコしていました。
「ぎゅーって抱っこしたよ」
内心、ヒヤリと感じながらも、息子の話を聞いていました。否定せず、赤ちゃん可愛くて良かったねなんて言いながら。
「どんな、赤ちゃんだったの?」
最後にそう聞いてみました。
すると息子から、さっと笑顔が消えて
「もう、この話しは終わりね」
と言われてしまいました。
そのときのヒヤリとした感覚を思い出すと、ぞくっとします。我が家は息子だけで、赤ちゃんはいません。息子はいったいどんな赤ちゃんに会ったのでしょうか。
後日談:
- 後日、また息子は、赤ちゃんに会ったといいました。お外で迷子になって、泣いていたよと。私は息子に、「おうちに、赤ちゃんのものは無いからねえ」なんて言いながら、雨のなか、家に入りました。 誰かのおうちの、どこかの赤ちゃんは無事におうちに帰れていますように。
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