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長編

津軽三十三観音霊場めぐり

2018年7月20日
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「津軽三十三観音霊場めぐり」は、地元のかたでも知らない人もいるようなのですが、比較的年配のかたがたにはメジャーなお参りだそうで、天皇陛下も参拝にいらしたこともある由緒ある神社仏閣の観音堂をめぐります。 木々の生い茂った山の頂上、エメラルドグリーンに輝く澄んだ川に面した岩屋のなか、見晴らしの良い海岸沿いなど、素晴らしい景色のなかに観音様のお堂がありまして、地元のバス会社もツアーを組んでいるくらい観光としても親しまれているようです。 私は生まれも育ちも東京で、津軽に移住したばかりということもあり、こちらの神様にご挨拶しておきたいというのと、元々オカルト好きなもので「霊場」という響きに魅力を感じて行ってみた次第です。 そのときに体験した不思議な出来事を綴ってみました。 ちなみに、私はオカルト好きではありますが、霊感的なものは持ち合わせておりません。 さて、本題に入りましょう。 津軽地方の広範囲に点在する三十三箇所の観音堂をめぐるというだけあって、一気にすべてをまわることは移動時間的に無理ですので、十箇所ちょいづつ3日間にわけてまわっていきました。 まず、1日目。 いくつめの観音堂だったかは失念しましたが、お堂の前でお祈りしているときに、視界の端に30代くらいの黒髪にクリーム色の上着を着た男性を見かけ、「あ、順番待ってるのかな?」と思い、待たせて悪いなぁと思いながらお祈りを済ませて振り返ると、そんな人はどこにもいなかったのです。 嫌な感じや体調に異変を感じたりはしなかったので、あとあと考えてみると、その人のように見えたものは自分の守護霊的な存在だったのかも? と思っています。 「霊場」と言い伝えられるだけあって不思議なことも起きるのだなぁと、その後もいくつかの観音堂をまわり、いよいよこの日最後にお参りするお堂に着きました。 この時点で夕刻になっており、お日様もだいぶ落ちて黄昏時でありました。 お祈りしている最中に、裸足の子どもが板の間の上をパタパタッと小走りするような音が聞こえたのです。 音が聞こえたとき、なんだか時代劇にでてくるような、長屋の前で遊んでいる着物を着たいたずらっ子っぽいイメージが頭に浮かびました。 もしかしたら、なにかの音と勘違いしたかもわかりませんが、夕暮れ時のお堂というのはそれだけでも身構えてしまう独特の雰囲気が漂っていますね。 そして、2日目。 とあるお堂に向かうため、クルマに乗っていると徐々に私の左肩が重くなってきました お堂へ続く石段を登ろうとすると、急に左肩から背中全体が重たくなり、「ヘンなものが乗ってきちゃったのかな?」と思った私は、同行者に「ちょっと背中を強めに叩いてくれる?」とお願いして、バシッと強めに叩いてもらったのですが、背中の重さは変わらず。 いつもより重く感じる体に、ふぅふぅと息をきらせながらお堂に着いて、同行者の読経とともにお祈りが終わると、重たかった背中がすっかり軽くなってました。 ふと、お堂のなかを見ると、干支の「戌」が描かれた絵が飾られており、「そういえば、おととし亡くなった祖母が戌年だったっけ」と瞬時に頭に浮かび、「もしかしたらおばあちゃん、私と一緒にお参りに来ちゃったのかな?」なんて思ったのでした。 その後はとくになにもなく、2日目の観音堂めぐりが終わりました。 ラスト3日目は何事もなくすべてまわり終えることができました。 ただ、家に帰って靴下を脱いでみると、左足首内側に内出血したようなアザができています。 「あれ? 出発前に靴下履いていたときは、こんなアザなかったよなぁ……今日どっかでぶつけたっけ?」と思い返すも、どうにも心当たりがありません。 私は結構うっかり者で、忘れっぽいところもあるので、知らないうちにぶつけたんだな、と納得し、アザもうっすらと青かっただけでしたので、数日したら消えるだろうと放っておきました。 しかし、そのアザが日に日に濃くなって腫れはじめたのです。 まるで熟れたアケビのように赤みがかった青紫に変色してしまい、慌てて湿布を貼りました。 これ以上酷くなるようなら病院へ行かなきゃな……なんて思いつつ、3日間ほど湿布貼り続けていたところ、何事もなかったかのようにアザがすっかり消えてなくなっておりました。 アザに関しては湿布で治ってしまったくらいなので、知らないうちにぶつけたのでしょうが、個人的にはこれがいちばん怖かったです。 なんだかここまでのお話だけですと、このお参りに関してマイナスイメージがついてしまいますので補足しておきますね。 「津軽三十三観音霊場めぐり」のあとに受けた健康診断は以前よりもずっとずっと良い結果になっていたり、詳細は省きますが嬉しい出来事が続いているので、きっとお参りめぐり中に起きた不思議な出来事は、私についてたマイナス要因が落ちる際に観音様の力が見せたり感じさせたりしたものなのかもしれないなぁ、なんて考えています。 このお話でご興味をお持ちになられたかたは、ぜひ「津軽三十三観音霊場めぐり」に行ってみてください。 お堂のなかの神聖さや人々の願いがあわさった独特な雰囲気は、芸術的にも見えますし、なによりお堂があるところの景色が素晴らしいのです。 ただ、くれぐれもふざけ半分やひやかし、ましてやいたずら目的で行くことは絶対にしないでくださいね。 真面目な気持ちでお参りにいった私でも不思議な体験をしましたし、場所によっては物理的に足場が悪かったり、山蛭や蛇が出る危険なところもありますので。 お参りに行かれる際には、事前にまわる場所を地図などで確認しておくことはもちろん、前日の天候にも注意して、山歩きに適した服装と靴でお行儀よく行なってくださいませ。

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