
中編
不思議な世界
タヌキ 2017年5月5日
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きさらぎ駅って知ってる?
数日前の夜、今年高校を卒業したAが聞いてきました。
その時は、確か異次元の無人駅の話だっけ?程度にしか記憶になかったのですが、一応知ってると答えるとAは、実は今日、きさらぎ駅みたいな体験をしたんだと語りだし、最後にこれが証拠だとLINEのログを見せてきました。
もう一度そのログを見せてもらう気分にはとてもなれず、正確ではないですが、大体の話と内容はこのような感じでした。
先月に車の免許を取り、車の納車も済んだAは、まだ車校に通っている友人に会いに、自宅から車で20分ほどの自動車学校へ、昼過ぎに出かけて行きました。
友人の授業が終わるまで相当時間がかかりそうだったため、時間をつぶそうと久しぶりに友人のBにLINEで連絡をしました。
するとBの両親は霊的なトラブルでお祓いに行っていて今、家に一人だと言うのです。
好奇心からAは、自宅の近所にあるBの家に友人Cも誘って、現地集合の形で顔を出しに行くことにしました。
田んぼを埋め立てて砂利を敷いたような共同駐車場に車をとめて、そこから歩いて3分ほどの距離にあるBの家に徒歩で向かい、玄関を開けて二階のBの部屋に行くも、Bが居ません。
しばらくしてもBが来ないので、LINEで連絡しました。
A<着いたぞーどこにいる?
B<部屋におるぞー
A<いや、俺も部屋におるしw
AはBにからかわれてるんだと思い、お互いに冗談はやめろよなwみたいなログが続きます。
B<そんなに言うなら部屋の写真撮ってみろよw
A<ほれ【部屋の写真】
B<なんやこれw真っ赤やないかwww
Aは意味が分かりません。テレビがあるので点けてみるとニュースが放送されていたので、それも写り込むようにもう一度部屋を撮影します。
A<これでどやw【部屋の写真】
B<だから真っ赤やてwなに写しとるんやwww
B<Cももう来たぞwマジでお前どこにいるのw
B<ちゃんとCもおるやろ?w【Cが写った部屋の写真】
Bの写真を見て、Aはふと気付きました。
A<空がえらい青いな。こっちはなんか曇ってるわ
B<お前、どこに車とめてきた?
A<砂利んとこ。お前の車の後ろにケツピタしたったわw
B<Cがお前の車なんか無かった言ってるぞ
この辺りから、もしかしてガチできさらぎ駅みたいな世界に行ってしまってるんじゃないか?いやいやマジでどうするよ!?みたいな空気になります。
B<なんか燃やしてみろ!
A<火とか持ってないし…
B<もうとにかくそこから出ろ!
A<鍵が固くて回らんのやて
A<だれかきた
LINEのログはとりあえずここまで。
Aは上手く説明出来ないけど、外に誰かが来た気配を感じたそうです。
Bの両親が帰宅したのかもしれないし、正直怖くなっていたけれど、BとCへの話のネタになるとか思い、玄関を開けようとしたその瞬間
Aは自分の車の中に居ました。しかも自宅からカーナビ情報によると一時間ほど距離がある、全然知らない山の中に。
だれかきた の最後のログから丁度一時間ほど経過しているらしく、心配した友人達からの大量なログや着歴。自分のログを確認すると、あのときは気づかなかったらしいのですが、Bに指摘された二枚の写真はどちらも真っ赤で(自分が見せてもらった時も真っ赤。なにかが写りこんだ赤ではなく、折り紙の赤を切って張り付けたような見事な真っ赤でした)で、ログ上では赤いのに画像ファイルではその写真はなぜか真っ黒に変わっていました。
周囲には特になにもなく、車ではいって来られるような道などなく、地面はゴミや瓦礫みたいのが散乱しているような林のような場所で、 カーナビだよりになんとか道にでて帰ってきたそうです。
この話、赤の他人から聞いた、ログを見ただけではとても信じられず、わからない、理解出来ない謎が多すぎます。
でも自分は信じます。Aとは自分の息子なのです。
この話を聞いて、もともとオカルト好きだったこともあり、異世界や平行世界の話を色々読みました。
だれかきた の誰かが、Bの家の霊的な何かで、Aに憑依して車を運転して山の中に捨ててきたのだとしても
時空のおっさん的な存在の助けだったにしても
とにかく我が子を無事にこの世に戻してくれた事を、心から感謝したいと思うのです。
この怖い話はどうでしたか?
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