
短編
“和多志”は使うな
匿名 2日前
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高校時代、塾の先生から変な話をされたことがある。
その先生は歴史とか民俗学に詳しくて、授業終わりによく雑談をしてくれていた。
その日も何気なく、「“私”っていう字には変な説があるんだよ」って言い始めた。
「戦後、GHQが“個人”を意識させるために、“私”という字を意図的に普及させたって話があってね。
それ以前は“和多志”って書く人もいたとか……まぁ、どこまで本当かはわからないけど」
そう言ってから、先生は急に真顔になって、こう言った。
「ただ、“和多志”って言葉、本来は神様の名前のひとつなんだ。
“和多志大神”って呼ばれてた神様がいてね。
でも最近、それを“自分”を指す言葉として流行らせようとしてる団体がある。
それを使うことで、神格を崩して、祀りを弱くする──そういう目的らしい」
そのときの先生の顔が、なんというか、普段と違っていて。
「お前は絶対、“和多志”って使うなよ」って最後に言われた。
あれから何年も経つけど、
最近になって、“和多志”って名前を使ってる人を妙に見るようになって──
本当にたまにだけど、「それで大丈夫なの?」ってゾッとする。
だって、神様の名前を、呼び捨てで、毎日口にしてるわけでしょう?
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