
中編
曾祖母の愛情と悲しき魂の叫び
けいすけ 3日前
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す黒い霞のようなモヤモヤ。
御手洗いの奥にある物置には出迎える感じで設置された縁が赤い全身姿見。
しかも洗面台と向かい合っているので合わせ鏡。
…霊道?
鏡の中から視線を感じた私は即刻退散。
個室に入り、本を読んでいると…不自然に照明が点滅して薄暗くなった個室の片隅に真っ赤な防空頭巾を被った女の子の姿を見た。
気にせず、本を読んだが段々頭痛と吐き気と目眩と焼けるような熱さが脳に入って来た。
肺に来る苦しさ…。
直ぐにそこから出ました。
喫茶店に着くと吐き気と頭痛と目眩は治まらず、冷や汗が流れました。
こんな風に酷く体調に来たのは初めてでした。
「寂しい…熱い…。」
そんな叫びを聞いた気がしました。
幸い、お店のかたと彼氏と近くにいたお姉さん方に介抱していただきました。
彼氏は自費でタクシーを使い家まで送ってくれました。
「病人が気を使うな‼ちゃんとお母さんに見てもらいなよ。」
…彼氏の優しさが有り難かった。
申し訳けなさと情けなさと優しさが嬉しい感情と悲しさと恐怖が混ざり複雑な気持ちになった。
そんな私を彼氏の優しい手は頭を撫でてくれた。
何故か急にほっとして吐き気が治まった。
「あの人達にはこんな優しい温もりをくれる優しい人達はいたのかな?」
…と、考えていました。
「流石村田のお祖父ちゃん。見るめはあるね。可愛い曾孫を安心して託せるわ。彼処はね、悲しい事があって沢山の人が無くなったの。空襲の中親御さんとはぐれたのね。栞ちゃんは優しい子だから幽霊さん達に頼られるのね。たまに心配になるけど、優しさは忘れないでね。彼氏さんに御礼しておくから。ふふ…もう少しで彼氏さんと毎日一緒にいられるよ。楽しみに待って、お仕事頑張りなさい。」
曾祖母が優しい笑顔で夢枕来てくれた。
「ねえ、ばあちゃん。私の幸せを優しくしてくれた人達に分けてもらえる?嬉しかったからお礼がしたいの。」
そんな私に曾祖母は優しく微笑み頷いてくれた。
「1人で不安だったのね。偉かったね。さっ、これを食べなさい。おばちゃんが父ちゃん母ちゃんの元に送るわ。」
曾祖母はレーズンサンドを女の子に差し出し、小さな手を優しく握り、天国へ無事連れていってくれました。
怒らすと怖いが物凄く優しい人達に助けられたお話でした。
読んで下さり有り難うございます。
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- あまり怖くはなかったけど、良いお話ですね!物好きの魔女