
長編
神隠し神社
(゜Д゜) 3日前
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つれガヤガヤと騒がしい声が聞こえてきました。
神社にはパトカーと救急車が停まっており、やじ馬が出来ていて物々しい雰囲気が漂っていました。
もしかしてAが!?とやじ馬をかき分け前に躍り出ると、拝殿の中から運び出されるストレッチャーに乗せられた子供の手が見えました。
私とBは大きな声でAの名前を呼び、近付こうとしましたが警察の人に止められてしまいました。
その警察の人に「あれはAですか?」と取り乱しながらも聞くと、はっきりとは教えてくれませんでしたが「大丈夫だよ」とだけ答えてくれました。
次の日登校すると朝礼で先生が「Aさんが無事に見つかりました。怪我もなく元気ですが、少し検査入院してから登校することになります。」と知らせてくれました。
クラス中が…きっと学校中が安堵したと思います。
Aが再び登校してくる日を今か今かと心待ちにしていた頃、一緒に鬼ごっこをしていたDが「それにしても何で今頃見つかったのかな?拝殿の中って探したよね?」と言い出しました。
確かにAがいなくなった直後に大人たちが拝殿の中までくまなく探していたはずです。
母に聞いた話によると、Aは拝殿の中で倒れていたところを、秋祭りの準備のために訪れた神主さんによって発見されたとの事。
検査の結果、外傷も内傷も無く発見当時はただ眠っていただけだったそうです。
数日後、Aは退院し登校してきました。
私は真っ先にAの元へ行き、無事で安心したことを伝えました。
そして何故拝殿の中で寝ていたのかという疑問をぶつけると、Aは困ったように「信じて貰え無いかもしれないけど…」と前置きをしてから話してくれました。
要約すると、Aは『拝殿の裏で鬼になって、10を数えてから皆を追いかけ始めた。拝殿の表へ飛び出したらそこには茶色い作業着のようなものを着た男の人が沢山倒れていた。境内から出ようと思ったが境内の周りにも同じ服装の男の人がいて、倒れていなかったがみんなこちらを眺めていて出られなかった。怖くて怖くて泣いていた。そこで記憶が途切れ、気が付いたら拝殿の中で周りに神主さんや警察の人がいた。』との事でした。
かなりの月日が経ち、今は件の神社もすっかり廃れてしまいました。
老朽化からか境内にはブランコも鉄棒も無くなり、いつの間にか慰霊碑も無くなっていましたが、今でも子供たちが鬼ごっこなどをして遊んでいる姿を見かけます。
開くはずの無い拝殿の扉、Aの前にだけ現れた謎の
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- 無事で良かったです。ななし
- KKさん〉そうなんです。施錠してあったはずなんですよ。どうやって入ったか、本人も分からないそうです。唐柏
- でもたしか、最初の文で、拝殿は施錠されていて入ることはできないと書いていたようですが・・・?KK
- 読んでいただきありがとうございます。 当時は怖いだけでしたが、今思い返すと本当に不思議な体験でした。 茶色の作業着の男の人たちは私も日本兵だったのではないかと思っています。唐柏
- 茶色の作業着って日本兵かな?鴉
- すごい体験ですね!こたくん