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長編

神隠し神社

(゜Д゜) 2020年12月22日
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霊は出てきませんが、昔とても不思議な体験をしました。 家の近所にそれほど大きくはない神社があるのですが、20年ほど前まではまだ年に2回お祭りがあるほどに賑わって(?)いました。 神社と言っても少し大きめの拝殿と鳥居があるだけで、神主さんが住むような家がくっついているタイプではありません。 年末年始やお祭りの時以外の拝殿は施錠してあったので中に入ることは不可能。 覗き見ることもできない作りでした。 ただ境内には滑り台やブランコ等があったので子供たちの遊び場になっており、毎日のように友達と遊んでいました。 境内の真ん中には大きなご神木がそびえ立っていて、いつも見守られているような安心感がありました。 一つ違和感があったのは、拝殿の横にあったブランコの後ろに何故か高さ2.5mほどの戦没者慰霊碑が建っていたこと。 その神社には拝殿をぐるぐると3周回ると神隠しにあうといううわさがありました。 だからと言って誰も拝殿を回らなかったわけではなく、遊んでいたらいつの間にか周回していたなんてことは多分にあったし、神隠しにあったなんて話は聞いたこともありません。 夢中で遊んでいたらうわさなんて忘れてしまいますしね。 あれは小学校5年生の夏休みが終わってすぐの事です。 いつものように仲のいい友達数人と神社で遊んでいました。 日も傾きかけてきた頃、Aが「鬼ごっこをしよう!」と提案してきたので遊具で遊ぶことにも飽きてきていた私たちは誰も反対することなく鬼ごっこをすることにしました。 じゃんけんで負けた私が鬼です。 10数えたら追いかける。暗黙のルールがありました。 私はゆっくり10まで数えると友達を追いかけます。 たいして広くない境内ですが、遊具や大きなご神木の周りを逃げ回られるとなかなか捕まえることが出来ません。 流石につかまらなさ過ぎてうんざりしてきた私は「同じ場所をずっとぐるぐる逃げるのは無しにしようよ!」とみんなに声を掛けました。 するとBが「じゃあ、ぐるぐる逃げるのは2周までね!」と条件を付けました。 皆鬼にはなりたくないけど、いつまでも捕まらないのも面白くないので同意し鬼ごっこを続けました。 一番逃げやすい場所はやはり死角の多い拝殿の周りで、数人がまとめてぐるぐる回って逃げることが多かったように思います。 私はいきなり逆に回ったり、死角で立ち止まったりとフェイントをかけながら追いかけCを捕まえることが出来ました。 Cも同じように駆使しながら友達を捕まえ、また私も捕まったりと鬼を交代しながら遊んでいたのですが、Aが鬼になった途端に誰も捕まらなくなりました。 と言うより、鬼であるAが追いかけてこないのです。 死角はあれども姿を完全に隠す場所などほぼ皆無…拝殿の反対側に行けば見えなくなるくらいの境内なのにAの姿が見当たりません。 「あれ?Aは?どこ行った?」と残りのみんなで集まり、逆にAを探すことにしました。 薄暗くなってきた中、手分けしてAを探しましたが境内にはいないようでどうしても見つかりませんでした。 結果「鬼が嫌で帰ったんじゃない?」ということになり、もう時間も時間なので解散することにしました。 そして明日学校でとっちめてやろう!なんて話しながら帰路につきました。 その日晩御飯を食べていると電話が鳴りました。 母が出たのですがすぐに慌てたように「〇〇(私)!今日Aちゃんと遊んだ?まだ帰ってきてないらしいんだけど知らない?」と聞いてきたのです。 私は「神社で一緒に遊んでたけど、鬼ごっこ中にAが鬼になったらいなくなった。帰ったと思った。」とありのままを伝えました。 母は私の言葉をそのまま電話の向こうの…おそらくAのお母さんに伝えて、「心配だから探してくる!全部済ませたら先に寝ていなさい。」と告げると、父を伴って飛び出していきました。 両親は9時頃帰ってきましたが、その日は心配でまともに眠ることが出来ませんでした。 翌日、学校へ行ってもやはりAは来ていませんでした。 そしてAの話題で持ちきりでした。 先生も青い顔をしつつ、普段通りを装って授業をしていたように思います。 3時間目が終わるとAと鬼ごっこをしていたメンバーが呼ばれ、空いた教室で私服の警察官に1人ずつ前日の行動を細かく聞かれました。 当然ながら全員が同じようなことを話したと思います。 私たちのせいでAがいなくなったのではないかと少し不安になり、Aが見つからないまま笑うことも許されないようなどんよりとした気分で数日を過ごしていました。 一週間ほどが経ったある日、学校帰りにBと神社の様子を見に行こうということになりました。 Aがいなくなって以来何となく近づけずにいたのですが、その日に限って胸騒ぎというか神社が気になって仕方がなかったのです。 Aがいなくなった鬼ごっこの時を確認するかのようにBと話しながら神社へ向かっていると、近づくにつれガヤガヤと騒がしい声が聞こえてきました。 神社にはパトカーと救急車が停まっており、やじ馬が出来ていて物々しい雰囲気が漂っていました。 もしかしてAが!?とやじ馬をかき分け前に躍り出ると、拝殿の中から運び出されるストレッチャーに乗せられた子供の手が見えました。 私とBは大きな声でAの名前を呼び、近付こうとしましたが警察の人に止められてしまいました。 その警察の人に「あれはAですか?」と取り乱しながらも聞くと、はっきりとは教えてくれませんでしたが「大丈夫だよ」とだけ答えてくれました。 次の日登校すると朝礼で先生が「Aさんが無事に見つかりました。怪我もなく元気ですが、少し検査入院してから登校することになります。」と知らせてくれました。 クラス中が…きっと学校中が安堵したと思います。 Aが再び登校してくる日を今か今かと心待ちにしていた頃、一緒に鬼ごっこをしていたDが「それにしても何で今頃見つかったのかな?拝殿の中って探したよね?」と言い出しました。 確かにAがいなくなった直後に大人たちが拝殿の中までくまなく探していたはずです。 母に聞いた話によると、Aは拝殿の中で倒れていたところを、秋祭りの準備のために訪れた神主さんによって発見されたとの事。 検査の結果、外傷も内傷も無く発見当時はただ眠っていただけだったそうです。 数日後、Aは退院し登校してきました。 私は真っ先にAの元へ行き、無事で安心したことを伝えました。 そして何故拝殿の中で寝ていたのかという疑問をぶつけると、Aは困ったように「信じて貰え無いかもしれないけど…」と前置きをしてから話してくれました。 要約すると、Aは『拝殿の裏で鬼になって、10を数えてから皆を追いかけ始めた。拝殿の表へ飛び出したらそこには茶色い作業着のようなものを着た男の人が沢山倒れていた。境内から出ようと思ったが境内の周りにも同じ服装の男の人がいて、倒れていなかったがみんなこちらを眺めていて出られなかった。怖くて怖くて泣いていた。そこで記憶が途切れ、気が付いたら拝殿の中で周りに神主さんや警察の人がいた。』との事でした。 かなりの月日が経ち、今は件の神社もすっかり廃れてしまいました。 老朽化からか境内にはブランコも鉄棒も無くなり、いつの間にか慰霊碑も無くなっていましたが、今でも子供たちが鬼ごっこなどをして遊んでいる姿を見かけます。 開くはずの無い拝殿の扉、Aの前にだけ現れた謎の作業着の男たち、行方不明から何日も経っていたのに怪我もなく健康な状態で見つかったA。 謎は謎のまま、今では酒の席でのお約束の話題となっています。

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