
短編
千里眼
匿名 2日前
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わたしは東京で訪問介護をしております。
これはある利用者の話で実話です。
あまり怖くはないのであしからず。
菊農家を営んでいたk持さんの話です。
家族構成はk持さん95歳。娘に息子の3人家族。元菊農家なのでお金持ちなのか、かなり大きな家に住んでいます。
新規で依頼が来た時は、「少しプレッシャーのある家だな」と思いました。
10畳程のリビングで、k持さんにケアをしているのですが、リビングに置いてあるダイニングテーブルで息子、娘が一言も発さずに座って見ている。
「やりずらい」
「がしかしいつものように心を込めてケアするしかない」
と思い、4回目の訪問した時、k持さんが歌を歌い出しました。
聞いたことのない歌。
「古い歌なのかな」位にしか思っていませんでした。
歌も終盤?にかかるとk持さんが、
「あっちは病気」
「こっちは階段からおちた」
「ほれこっちは水で溺れて死んだ」
と歌?なのかぼやきなのかわからないことを口走りました。
それを聞いた無言で座っていた娘、息子の表情がこわばっていたのを覚えています。
その日は普通にケアを終え帰りました。
k持さんは週に2回訪問なのですが、娘から「しばらく休みます」と連絡があり1週間休みました。
1週間後、k持さん宅を訪問すると相変わらず元気なk持さんの変わらない姿がありました。
「良かった元気そうで」
とわたしは思いましたが、娘と息子がやつれたように見えました。
「大丈夫ですか?お疲れのようですが」
と2人に話しかけました。
娘が糸を切ったように話しだしました。
「実はこの1週間で3つも御葬式がありまして、とても大変だったんです」
聞くと、親戚が次々と亡くなったとの事でした。
1人目は癌で病死。
2人目は階段から落ち死亡。
3人目はお風呂で溺死。
k持さんの歌?の通りでした。
わたしは背筋がゾッとしました。
娘いわく、
「母さんのあの歌がでると必ず人が死ぬ」
との事。
それから娘は昔の話をずっとしていて、k持さんが前に弟が溺れているのを口走り、自身で命を助けた事を教えてくれました。
k持さんのお宅は昔からそういった能力を受け継いでいるらしく、たびたびそれが起こるそうです。
k持さんの能力にもびっくりしましたが、娘が饒舌に話をする事にもびっくりしました。
今でもk持さんは元気にケアを受けています。
この怖い話はどうでしたか?
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- 充分怖えよ(涙)ボトムズヲタク
- 昨日k持さんのお宅に訪問しました。 娘さんより聞いたことですが、 朝方にわたしの名前を呼び「ありがとう」と言ったそうです。 ちょうどわたしがこの話を投稿し終えたのが朝方でした。 k持さんにはすべてわかっているのかも知れないですね。u so kaka9
- 誰かに聞いてもらいたかったんじゃ無い?鴉