
中編
呪いの箱
あ 2日前
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10年以上前の話です。
私は仕事で船に乗っていました。
船といっても漁船ではなく貨物を運搬するいわゆる商船です。
私が勤めていた会社はそこまで船員の数が多くない為、少ない人数で休みを回すしかなく、長い時間を船で過ごしております。
とある港で荷物の積み下ろしをして船を離岸したのち、船員の一人が船の通路で小さい箱のようなものを拾いました。
その箱は真四角の両手で包めるくらいの大きさです。
材質は鉄製で青くかなり色あせており、うっすらとつなぎ目のようなものが見えます。
振るとわずかに音がするので中に何か入っているのは間違いないのですが、開け方がわからず何が入っているのかはわかりませんでした。
私を含め、他の船員も誰もそんなものは知らないとの事だったので、さっきの港で船に出入りしていた人が落としたのだろう。
連絡があれば次の港で郵送してもらうなりすればいい、ということで船のサロンに置いていました。
翌日から船員の身内に不幸が起こるようになりました。
幸い死人はでなかったのですが、奥さんや子供が事故などで病院に運ばれたりしました。
次の港で身内が怪我をしてしまった人と休暇の人間が急遽入れ替わることになりましたが、
私は独り身で親も早くに亡くしてしまっているため何事もなく、そのまま船に残ることになりました。
船員は男性が多いのですが、私の会社の船員には一人だけ女性がおり、その方をAさんとします。
今回の騒動でそのAさんも船に乗ることになり、港を離岸した翌日のことでした。
サロンでAさんと談笑していると「この箱はなに?」ときかれました。
そういえば何の連絡もなかったので忘れてたなと経緯を説明し、二人で箱をいじっていました。
そこで急に、Aさんが椅子から立ち上がり壁に向かって頭をぶつけ始めたのです。
私は突然の出来事でフリーズしましたが、なぜか上着のポケットに箱をいれ、すぐにAさんを押さえつけて他の船員を呼びました。
その間もAさんは「うぅ~っ」と低い声でうなりながら暴れています。
集まった人間で抑えながら寝室へ運びこみ、様子をみていると気を失ったのか収まりました。
次にとまる港は近くだったので、それから2時間ほどで到着し再度入れ替わる形でAさんが病院へ運ばれ、付き添いで私も降りることになりました。
病院で目を覚ましたAさんは何も覚えておらず、
大事をとって入院することになり、私はそのまま休暇ということになりました。
ポケ
後日談:
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