
長編
掛け軸
匿名 2023年2月20日
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これは実家で長年続いた不思議な出来事です。
実家に帰った時思い出したので、書いてみました。
長文、駄文であまり怖くないと思いますが読んで頂けると嬉しいです。
私の実家は田舎で、蔵があるような
昔ながらの和風の家です。
玄関入ってすぐ左手に和室が2間続いており、奥の和室には床の間があって
そこにはいつも、季節ごとの掛け軸がかかっていました。
お客さんが来た時に使う部屋で
普段はその2部屋は使用していません。
しかし、奥の部屋(床の間のある部屋)には池が見える縁側もあって
天気の良い日なんかはとても気持ち良く
私たち兄妹は小さい頃に
よく奥の部屋で遊んでいたそうです。
(私は覚えてませんが、遊んでる写真があり、教えてもらいました。)
ちなみに私は3人兄弟の末っ子です。
ところがいつからか
私は何故か奥の部屋が、天気の良い日でも
暗くて重たい空気がまとわりつく感じがして、気持ち悪くて凄く怖がる様になり
部屋に近づかなくなりました。
それは、兄も同じだったようで
「奥の部屋、なんか気持ち悪い。」
「あの部屋入ったら寒気する!」
と言うようになり、近づかなくなりました。
私が小学校2年生くらいの頃だったと思います。
その頃にはあまり奥の部屋に近づかなかったので
いつから有ったのか分かりませんが
床の間に虎の掛け軸がかけらていました。
私がそれに気付いた時の記憶では
描かれている虎は
頭、前足、胴の前半分が草むらから出ており
残りの胴半分と、後ろ足は草で隠れて見えない状態。
分かりにくいかも知れませんが
とにかく体の1部が草むらで隠れてる状態の絵でした。
その時は、ただでさえ奥の部屋怖いのに
いつからこんな怖い掛け軸かけてたんやろ…と思っていました。
私は奥の部屋には極力入らないようにしていたんですが、それでもどうしても入らないといけない時もありました。
暫くして、たまーーーに入る奥の部屋の掛け軸がずっと虎のまま変わっていない事に気付きました。
それからも、たまーに部屋に入るたびに虎か…また虎か…と思っていたんですが
私が小学校4年生くらいの頃だったと思います。
ある日、掛け軸の絵が変わっていたんです。
虎は虎なんですが、今まで体の1部が草で隠れて見えなかったのに、
虎が草むらから前進している様な絵で、体全体が見えるようになっていたんです。
でも虎の位置が変わっているだけで、他に描かれてる草むら等は前と一切変わっていませんでした。
私の頭の中は「?」だらけで
怖くて早く部屋から出たいのに、その時だけは隅々までマジマジと掛け軸を見て
目が離せませんでした。
部屋に入る度、必ず絵を確認してたから間違いない。
絶対に虎の位置が変わってる。
掛け軸から目を離さずそのまま後退りで部屋を出て、襖を閉めてからダッシュで部屋から離れました。
やっと変わったと思ったら、また虎…
しかも前と虎の位置が違うだけで、ほぼ同じやつ…
私は直ぐ母に確認しました。
私「掛け軸変えたと思ったら、何でまた虎?」と…すると
母「え?変えてないけど」
私「?」「でも、虎の位置が違うやん」
母「そう言えば、ちょっと前にお兄ちゃんも似た事言ってたわ!」
「奥の部屋から叫びながら戻って来たと 思ったら、虎が動いたー!!って言うてたわ」
「お姉ちゃんと、んなアホな!って見て みたけど、なんともなかったよ」
私「動いたのは知らんけど、絶対に前と位置が違うって!」
母「一緒やって!」
というやり取りで終わりました。
兄にも後で確認してみました。
私「虎の掛け軸さー、虎の位置変わって
ると思わん?前は草で隠れて全身見えへんだよな?」
兄「俺は動いたの見たからな…」
とだけ言っていました。
それからは掛け軸に変化は無かったんですが、2階に部屋がある姉と兄が時々
「2階の廊下、人の足音が聞こえる」
と言うようになりました。
父と母は古い木造の家やから家鳴りだろうと言っていましたが、
私も中学生の頃に
家に1人で居る時、1度だけ明らかに家鳴りとは違う
人が歩いているような音を聞き
怖くて家の外で家族の誰かが帰って来るのを待ってた事があります。
私が高校生になってもそれは続いて
姉は社会人で1人暮らしを始めていたんですが、兄は相変わらず2階で足音を聞いていたようで、ある日
「2階、1人で怖くないん?」
と聞いてみると
兄「もう流石に慣れたわw」
「足音聞こえるのと、たまに金縛りになるだけやし」
私「1階の空いてる部屋使ったら
いいやん」
兄「2階の空いてる部屋、全部俺が
使ってるからこのままで良い」
「それに2階誰も使わんくなったら、今度は1階で足音聞こえる様になるかもしれんで(笑)」
と、2階の部屋を使い続けていました。
しかし兄も、1階の奥の部屋だけは
相変わらず避けていました。
それから暫くして、
私が高校2年生の秋頃だったと思います。
隣の県に住んでいる伯母さんが
初めてうちで泊まる事になりました。
伯母さんは忙しい人で
うちに遊びに来ても
仕事が有るからと泊まらず
いつも日帰りだったんですが
その時は何故か急に泊まる事になり
奥の部屋で寝てもらう事になりました。
私は、何でよりによって奥の部屋?
と思っていたんですが
翌日、伯母さんは何事も無かった様に帰って行ったので一安心していました。
伯母さんが泊まった日から数日後
私が学校から帰ると、母がいきなり
母「S(私)ちょっと奥の部屋行ってきて!」
と少しテンション高めで言ってきたので
私「は?嫌やっていつも言ってるやん!」
と、怒ったんですが
母「お願い!お母さんも一緒に行くから!」
としつこく言われたので
渋々母と奥の部屋に行ってみました。
すると、今まで凄く怖くて仕方なかった
暗くて重くて、どんよりした空気が
一切なくなっていました。
部屋に入った瞬間
私「え!?空気が軽い!?」
「何で!?なんか部屋が明るいねんけど!!」
「暗くて重い感じがなくなってる!!」
「何で!?怖くない!!」
「怖くないねんけど!!何で!?」
とテンション上がって
「怖くない!!」を何回も言いながら
部屋の中ではしゃいでいました(笑)
母「お兄ちゃんも嫌な感じしなくなった
って言ってたわ!」
とニコニコしていました。
この日、母から教えてもらったんですが
数日前に泊まった伯母さんは
霊感があるらしく、あの日奥の部屋で寝ていると金縛りになり、枕元で落武者の様な格好をした男性が「助けて…」と苦しそうに訴えてきて、掛け軸の中へ消えていったそうです。
翌朝、母は伯母さんからその事を聞き
掛け軸をちゃんとした人に見せて
供養してもらった方がいいと言われたそうです。
そして、伯母さんに紹介してもらった人に見てもらうと
虎の足元に男性の顔が見えると言われ
その方がお焚き上げをし
しっかり供養してくれたとの事でした。
兄いわく、それからは2階の足音も金縛りも無くなったようです。
長年、不思議な現象が続いていましたが
家族に不幸が起きた訳でもなく
掛け軸の男性は、本当にただ気付いて欲しかっただけなんだろうなと思います。
後日母に、昔はちょこちょこ掛け軸変えてたし、私も兄も「掛け軸変えて」と何回も言ったのに、何で虎の掛け軸を長年変えなかったのか聞いてみたんですが
何故か、変える気にならなかった…との事でした。本人もよく分かっていない様子(笑)
供養後は、また時々掛け軸を変えていました。
掛け軸の虎自体には何もふれられ無かった様ですが、掛け軸自体にも何かあったのかもしれないですね。
長文、駄文を最後まで読んで頂き
ありがとうございました。
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