
短編
いじめの代償
匿名 2日前
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中学生のときのこと。
同じ学年に知的障害の男子がいた。
どうしても他の子と一緒に学びたいという親の希望で、通常の学校に入れたそうだ。
その子は勉強が全くついていけてなく、他の子ともうまく関われなかった。
さらにその子は、クラスの子にバカにされたり、いじめられていた。
俺は中2と中3でその子と同じクラスになり、はじめは仲良くしていた。
だが、その子と仲良くすることで仲間だと思われ、俺自身も変な目で見られているように感じていた。
そして中3になり、修学旅行でその子と同じ班になることの不安から、俺もその子をいじめるようになった。
そして、その子は学校に来なくなった。
ある日の朝の学活で、
「○○君は、いじめが原因で転校しました。」
担任は一言だけ端的に言い、俺たちを責めたりはしなかった。担任は
「○○君のご両親からお礼がしたいと・・」
と言い、写真家の父親から頂いたと言う写真をクラス全員にくれた。
写真には、
「湖のほとりでこちらに顔を向けている一羽の白鳥」
が写っている綺麗な写真だった。
両親は息子をいじめたクラスメイトになぜ全員分も写真をくれたのか、その写真に何か意味があるのか、それは誰にも分からない。
親がいじめた子たちに写真をプレゼントしたところで、何も思わなかったり、あとで捨てられてしまうかも知れないのに。
ひとつ言えることは、あれから何十年も経った今でも一枚の写真をもらった事実や経緯を忘れないくらい、「いじめ」は深く心に残るということだ。
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- 一生背負っていかなければいけないことカニカマ