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殿堂入り
玲姫の部屋
作者:SHO
投稿日:2017年3月16日
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原作の怖い話
長編
玲姫の部屋
「ねぇ!百物語やらない!?」 とても晴れた日の事だった。 朋美がこんな事を言いだしたのは。 私が高校の吹奏楽部に入って、初めてできた友達が朋美。 とても活発な性格で、男女の分け隔てなく接する朋美は、私達の学年で人気者だった。 そんな朋美が、百物語をやろうなんて言いだしたのは驚きだ。 「朋美ってそういうの興味あった?」 「いや〜。明日から夏休みだし。夏らしい事でもしたいな〜って。」 「夏らしいこと、ね…」 だったら花火を見に行ったり、祭りで楽しむのでも良い気がした。 けっきょく、こんな感じのノリで百物語を行う事にした。 その日に行われた終業式終了後、夏季大会が近いため、私達の吹奏楽部は午後から活動があった。 その際、朋美は部員の中でも仲の良い 岩崎さん(同学年) 水澤さん(同学年) 来宮さん(1学年) 間宮君(同学年) 若生君(同学年) の5人を誘った。 「ところで、いつやるの?」 「う〜ん…今夜にしようか。」 「今夜!?」 いくらなんでも早すぎる。そう思ったが。 「お寺でしたら、今日でも大丈夫ですよ。先輩。」 来宮さんがそう言ってくれた。百物語に参加する唯一の1年だ。 来宮さんの祖父はお寺の住職をしているので、朋美が半ば強引に誘ったのだ。 そして、驚く事に私以外の全員が今夜でも大丈夫とのこと。 断りずらい雰囲気になり、私もその場で親に電話をして確認をとったところ 「朋美ちゃん達とお泊まりね。気を付けて。」 と、あっさりオーケーを貰えたので拍子抜けした。 普段は厳しい母親から、これ程あっさりオーケーを貰えるとは。 少し違和感を覚えた。 その後、集合時間と場所を確認し、一度家に帰宅して夕飯を食べる。 そして、来宮さんの祖父が住職を務めるお寺に向かった。 集合時間の10分前に私は着いたのだが、他のメンバーはすでに到着していた。 「みんな早いね〜」 私がそう言うと 「あなたが遅いのよ。」 という声が聞こえた。最初は誰の声なのか理解できなかった。 しかし、今の声は紛れもなく朋美の声だった。 朋美にしては、あり得ないくらい冷たい言い放ちようだった。 今のって、朋美が言ったの?本当に朋美? そんな私の疑問を余所に、他のメンバーは特に気にもとめない様子でお寺の入り口に向かっていく。 朋美も、私を見ようともせずに入っていく。 私は朋美に不信感を抱きながら、みんなを追いかけた。 来宮さんの祖父に挨拶をした後、お寺の本堂に入った私たち7人は、用意した30本のろうそくを囲むようにして床に座る。 ろうそくは、風も吹いてないのにゆらゆらと生き物のように揺れていて、なんだか不気味だ。 私の右隣には、今にも泣きそうな顔で水澤さんが座っていた…かわいそうに。 水澤さんはこういう類のものは苦手なのだが、仲の良い岩崎さんが参加するというので、無理をして参加したのだ。 対して岩崎さんはニコニコ笑顔。 間宮君と若生君の男子組は顔をこわばらせて座っている。 そして、ちょうど私の向い側に座っている朋美から怪談を語り始める。 ちなみに、百も話すのは無理だろうという事で、三十の怪談を語ったら終了する事になっている。 だからろうそくも30本。 怪談が1つ語り終わる度に、ろうそくの火が1本ずつ消される。 しばらくして、語り始めてから3周目になった。 腕時計を見ると、ちょうど丑満時だ。 なんだか不気味… ろうそくの火も半分くらい消されて、最初よりもだいぶ暗くなった。 本堂の奥には闇が果てしなく広がり、見ていると吸い込まれそうになる。 私はこの時、なんとなく朋美が気になった。 意を決し、そぉーっと…俯いていた顔をあげ、朋美の方を見る。 … なんの感情も浮かべることなく、無表情で座っている朋美の姿がそこにあった。 「朋美…?」 「…」 「とーもーみー!!」 「……」 焦点のない目がこちらを見る。 その目を見た瞬間、背中の毛がゾワゾワッと逆立つ。 いつもの朋美じゃない。直感でそう思った。 やっぱりおかしい。普通じゃない。 朋美は私を見たままふらふらと立ち上がり、本堂の奥に向かって歩きだす。 「おい!待てよ!」 間宮君が追いかけて朋美の手を掴んだが… 「!?」 朋美の顔を見た途端、へなへな〜と座り込み、動かなくなった。 口をわなわなと震わせている。 朋美は私たちを無視して、そのままふらふらと奥へ向かって行った。 しばらくして、来宮さんがスタッと立ち上がり、朋美の後を追いかけた。 私も慌てて来宮さんの後を追う。 「朋美先輩が向かった先には、おじいちゃんの部屋があります。」 来宮さんが走りながら私に言う。それなら、来宮さんの祖父もいるはずだ。 若生君は間宮君の介護。 岩崎さんは泣きじゃくる水澤さんを慰めているので、置いて行けない様子だった。 結果、朋美を追いかけているのは、私と来宮さんだけ。 長い廊下の先に『おじいちゃんの部屋』があるはずだった。 しかし、開いたままの扉から入ると、異様な光景が広がっていた。 「とも…み…?」 「先輩…」 そこは8畳程の部屋。その真ん中に朋美は… いや、朋美に憑依した『なにか』が日本人形を優しく抱いて、横座りしていた。 子守唄のようなものを歌いながら櫛で日本人形の髪を梳いている。 その光景は、まるで子供の髪を梳かす母親そのものだった。 「ここ…おじいちゃんの部屋じゃない…」 来宮さんはさらに恐ろしい事を言いだす。 おじいちゃんの部屋じゃない?どういうこと? しかし、言われてみれば、来宮さんの祖父の姿はどこにもなかった。 「たぶん…朋美先輩に憑依しているのは、玲姫です」 「レイヒメ?」 来宮さんが、朋美の後ろを指差す。 その方向に目を向けると… 掛け軸に、着物を着た女性が子供を抱きながら涙を流す絵があった。 今の朋美の姿と酷似している。 「この寺の書物庫で『玲姫の部屋』という書を見た事があります。そのときに、あの掛け軸と同じ絵がありました。」 来宮さんが淡々と話す。 いや、玲姫って何者? その疑問を口にすると、来宮さんは掻い摘んで説明してくれた。 「災いをもたらすとされた日本人形によって、玲姫の子供は呪い殺されます。子供を亡くした事で悲しむ玲姫に、その人形は自分を玲姫の子供と思わせる術をかけ、玲姫に永遠と自分の世話をさせるんです。」 永遠と…世話をさせる。 考えるだけでゾッとする。 その時、日本人形がこちらに顔を向けた。まるで私の心の声が聞こえたかのように。 90度こちらに首をまわして。 黒い涙を流していた。墨汁のような真っ黒な涙を。 私は恐怖で、足があり得ないくらいにガクガクと震えだす。 来宮さんも、日本人形の顔がこちらを見た瞬間 「ヒィッ…!」 と声が漏れ、1歩後ずさりする。 すると 「どうしたの…?なんで泣いてるの…?ねぇ…なんでよ…なんで泣いてるのよ…なんで…なんで…なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで」 口から内蔵が飛びだしそうなくらい、怖かった。 同じ言葉を恐ろしいほど連呼しながら、私たちの方をジロリと睨みつける。 朋美…いや、来宮さんの話からすると、それは人形に操られた玲姫だ。 「あなた達が…私の大切な子を…泣かせたのね…」 ふらふらと立ち上がり、朋美の姿でこちらに向かおうとする玲姫。 そのそばで、人形もこちらを向いて立ち上がっていた。 「「いやぁぁぁぁーーーー!!!!」」 もう限界だった。 私と来宮さんは岩崎さん達4人がいる本堂に向かって全力で走りだす。 しかし、後ろから追いかけてくる気配はない。 私と来宮さんは本堂に着く。 ろうそくはすでに燃え尽きていたが、月明かりでかろうじて本堂全体を見渡せた。 そこに、いるはずの4人の姿はどこにもなかった。 私が驚きのあまり呆然と立ち尽くしていると 「先輩!今はとにかく逃げましょう!」 と、来宮さんが外に通じる襖を開ける。 が、それっきり来宮さんの動きが止まった。 嫌な予感しかしなかった。 「あっ…いっ…いや…イヤ…」 来宮さんが1歩2歩と後ずさりする。 私は見えてしまった。 来宮さんの目の先にいたのは、日本人形だった。 小さなシルエットを、月明かりが照らしだす。 「いい子やね〜。」 その声が後ろから聞こえたとき、体がビクッと反応した。 ふり返ると、玲姫が無表情で近づいてくる。朋美の姿で。 来宮さんは玲姫の姿を見て、絶望したのだろうか。そのまま倒れて気絶してしまった。 玲姫は私の横を通りすぎ、日本人形のそばで横座りし、人形の頭を撫でる。 人形の頬には、黒い涙の跡が筋となって残っていた。 「ねぇ…」 玲姫が私の方を向く。私は恐怖を刻み込まれすぎて、もう1歩も動けなかった。 「今が…夢か現実か分かる?」 「えっ」 奇妙な事を聞いてくる。むしろ、今のこの状況が夢であってほしい。 そう思ったが、言えずにいると 「私には…分からないのよ…もうずっと。ずーっとね。」 …夢か現実か分からない?ずっと? 私はやっとの事で口を開く。 「それって…どういうことですか?」 しかし、玲姫は私の問いかけに答えない。 「今は…現実じゃないですか。」 独り言のように、私は呟く。 認めたくないが、今は現実。 終業式の帰りに、こんな目に合っているのだ。 しかし、次の一言で私は戸惑う。 「本当に断言できるの?」 玲姫が私の方を向き、見つめてくる。 分からない… 玲姫がなにを言いたいのか。私にどのような答えを求めているのか。 そして、今のこの状況が夢なのか。現実なのかさえ、分からなくなった。 本当に…現実なの? 今日、学校に行ったのも、終業式が行われたのも、部活があったのも。 朋美が玲姫に憑依されたのも、4人が消えちゃったのも。 今までの出来事は全て、夢だったの? 様々な考えが駆け巡り、頭が混乱する。 「ねぇ…あなと一緒にいた可愛い子はどこへ行ったのかしら。」 玲姫は私の動揺など気にせずさらりと言う。 来宮さんの事だ。 私は慌てて来宮さんが倒れていた方向を見た。 しかし、いなかった。辺りを見渡しても、どこにも。 なんで…どうして…どこに行ってしまったの? 「どうやらあなたも、こちらの世界へ迷い込んでしまったのね。」 玲姫が可笑しそうに笑いだす。その笑い声も朋美の声そのものだった。 こちらの世界に迷い込む?なにを言っているの?どういうことなの? 私はこの状況に追いつけず、疑問が心の中で叫びをあげる。 玲姫の笑い声に混じって、カツーン、カツーンと音が聞こえる。 その音を聞き、再び恐怖心に襲われる。 心臓が張り裂けそうになり、喉の奥が詰まったように、息ができない。 それ程の恐怖だった。 私が恐る恐る音のする方を見るのと 「あらぁ〜。いつの間に」 と、玲姫が言うのが同時だった。 日本人形が私の横にいた。そして、私を見上げる。 「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁーーーー!!!!」 思わず叫び声をあげる。 人形に目はなかった。真っ黒に濁った闇のようだった。 そこから、真っ黒な涙がドロドロと流れ続けていた。 人形の手が私の体を触ろうとしていた。ニタニタと笑いながら。 それを見たのを最後に、私の意識が遠のいていく。 「また会いましょう…永遠に。」 最後に聞こえたこの言葉。 いったい、誰が言ったのか。どういう意味なのか? 私には…分からない。 … うぅ、頭が痛い。 今日は終業式だというのに、朝から激しい頭痛に襲われていた。 しっかり寝たのにな…。 市販の頭痛薬を飲み、自転車で学校に向かう。 しばらくして、後ろから 「せーんぱい!おはようございます!」 来宮さんが元気に挨拶してきた。 「もうすぐ夏季大会ですからね。張り切っていかないと!」 「あ〜!そうだ。今日も部活あるんだった〜。」 すっかり忘れていた。 途中で岩崎さんと水澤さんにも会い、一緒にお喋りしながら登校した。 教室に入り自分の席に着くも、まだ頭痛が治らないので机に突っ伏す。 「おっはよぉ〜!!」 机を思いっきり叩かれる。 顔をあげると、朋美が満面の笑みで話しだす。 「ねぇ!百物語やらない!?」 とても晴れた日の事だった。
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SHO
2017年3月16日
あれっぽい。夢水清志郎。
2020年9月27日
するめ、
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