
短編
快速電車
匿名 3日前
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仕事の関係でとある地方都市に異動になった。
会社はターミナル駅がある中心地にあるが、俺の家は郊外にあった。
家の最寄り駅は、終点の近くで急行や特急も停まるため、ターミナルとの往復ならどの電車に乗っても良かった。
ある日、残業で遅くなりターミナル駅に行くと、ホームに快速電車が停まっていた。
行き先はいつもの終点だが、種別が快速だった。
俺は「快速なんてあったっけな?」と思いながらも、隣のホームの各駅停車に乗ってしまうとかなり時間がかかるため、その快速電車に乗った。
快速電車は外観も内装もひと昔前のような古めかしい車両だった。
中にいる乗客も何か古い服装や髪型だった。
俺は変だなと思いながらも席についた。
しばらくすると、快速電車が走り始めた。
走行音がひと昔前のようだった。
さらに快速電車が止まる駅が、聞き慣れない駅名ばかりだった。
一瞬間違った電車に乗ったかと思ったが、ターミナルから最寄り駅まで一本道の路線で、支線があるわけでもない。
俺は変だなと思いながらも、電車に乗っていた。
しばらく走ると、車掌の声で俺の最寄り駅の駅名が呼ばれた。
俺は、安心しつつも駅で降りる。
そしてホームに降りた瞬間、そこには何もなかった。
俺はいつもの最寄り駅のホームに一人で立っていた。今、降りたばかりの電車は音もなく消えていた。
無人駅のため、あたりには誰もいなかった。
俺は早足でホームを出て、家まで歩きながらそのことを考えていた。
今のは、なんだったんだ?
あとで調べてみると、昔はこの路線にも快速電車が走っていたらしいが廃止になり、その後停車駅が違う急行や特急が走ることになったらしい。
俺はあのときタイムスリップしていたのだろうか?
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