
長編
青い絵
ぽにょ 3日前
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てられないように置いておいて、そのほかのゴミは大学内の庭にまとめて持って行った。他のサークルから出るゴミもそこに集められていたが、一緒にどこかに片付けられるのだろう。
キャンバスは入れる袋もなく、そのまま手にもって持ち帰る事にした。
一人暮らしのアパートはとても昭和の感じがして、共同トイレ・共同洗濯機。アパートに住んでいるのは僕と、隣の部屋には話をした事もない同じ大学の生徒。あと中年の夫婦。
コンクリートをむき出しのアパート。空いた部屋にはカーテンが付けてなく、夜は中を見たくないがアパートの奥にあるトイレへ行くには必ず通る度に目がいってしまう。夜中はできるだけトイレへ行きたくはない。
といっても、住んで一年、特に霊感があるわけでもなく、何事もないし、感じないので怖い事も起きた事がなかった。
帰って来て「ただいま」を言う相手もいない部屋の電気を付け、入ってすぐのキッチンのガラス扉にキャンバスを裏返しに立てかけた。
僕がいる部屋からは、ぼやけた感じでくもりガラス向こうのキャンバスが見える。
4畳半の小さな部屋。
キャンバスの利用価値を探すの後にしようと、テレビもない部屋でラジオを聞きながら夕飯を軽くすませて銭湯へ行き掃除で誇りだらけになった体を洗い流した。
帰って来てパジャマを着て寝る事にした。ベットで布団に入って電気を消して寝た。
気がつくと、足下に白い服を着た髪の長い人が立っていた。
髪の毛が前に垂れ下がっていて、顔がよく見えない。
はっとして、体を動かそうとしたけど体が動かなくなっていた。
金縛りにかかっていた。
恐怖で声をあげたいが、声も出ない。
また気がつくと、今度は胸の上に立っていた。ずっとこちらを見ているのがわかる。
近くに来たせいで顔が見えたけど、下目でたった立ったままこちらを見ている。
そのまま首を絞めるように首に手を当ててきた。
くっ、苦しい。
たすけて、このままじゃ…
とても長い時間に感じた。どうがんばっても体が言う事をきかない。身動きが取れない。
おもいきって右側に体を傾けて、上に乗っているものを振り落とすようにしてみた。
その瞬間暗闇の中で、体がベットから落ちた。
まわりに人はいなかった。辺りを見回すのも怖くて、すぐさま電気の紐を引っ張り、明かりを付けて布団に潜り込んだ。こんどは仰向けにならないように横になって、朝が早く来ますようにと祈りながら
縮こまっていた。
気がつく
後日談:
- いまではもうあのサークルの部屋があるプレハブもないし、昭和を感じさせるアパートも取り壊された。
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