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長編

霊会話教室

匿名 2024年4月8日
怖い 34
怖くない 28
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これは20年以上前、私が小学生の頃に体験したお話です。 当時、私は小学5年生で自宅から自転車で15分程度の距離にある、英会話教室に通っていました。 怖い体験をしたのは6月の梅雨時 その日は雨が降っており、自転車で傘をさして英会話教室に向かい、ズボンやシャツは濡れ、ジメジメとする6月に服が張り付く不快感を感じながら、英会話教室のある雑居ビルに到着しました。 この雑居ビルは5階建てで、全ての階層に習い事の教室が入っているビル 古い建物ということもあり、壁は少し茶色くなっており、エレベーターはないため、最上階の英会話教室には階段で上り下りをしなければならず、とても辛かったのを覚えています。 その上、このビルは何故か階段の照明が少なく、普段から暗く不気味な上、雨が降っており、明かり取りの窓からほとんど光が入らず、ジメジメとした蒸し暑つさもあいまって、いつにも増して不気味な雰囲気がしたのを覚えています。 階段を一つ一つ登る中、教室の5階の一つ下である4階で足が止まりました。 何故かと言うと、普段と見慣れない光景があったからです。 この4階はバレー教室で、鉄製の扉についた覗き窓から中の様子は確認できるのですが、その日はお休みのため、扉は閉められており、消灯しています。 普段は白い床が広がり、壁の一方には大きな鏡と、鏡の前にはストレッチや開脚の際に利用する手すりがあるのですが、何故かその日は、机でも引きずったのか、白い床にびっしり黒い傷がついたのです。 『なんだあれ?』 と思いながら、中の様子をしっかりと確認すると、もう一つ不思議な物がありました。 それは部屋のど真ん中にある、黒くて長いカーテン。 カーテンなので、遮光するためには窓辺につけられているはずの物が、部屋のど真ん中にぶら下がっていたのです。 『そもそもこの部屋にカーテンなんてなかったはずでは?』 と、凝視していると、その黒いカーテンが扉や窓は閉められているにもかかわらず、僅かにユラユラと揺れているようでした。 ますます訳がわからず、少し時間観察していると、その黒い物体はゆっくりと回転し、カーテンのような物の隙間から僅かに白い物が覗き見えた瞬間、私はその正体に気がつきました。 黒い長いカーテンだと思っていた物は、黒くて長い髪 回転し、髪の隙間からは血の気のない、青白い女の顔がそこに浮かんでいたのです。 そして、白い床の黒い傷は…この女の髪が散らばっているのだということにも気がつきました。 私は全身鳥肌が立ち、あまりの恐怖に、階段を駆け上がり5階の英会話教室に駆け込みました。 教室に飛び込むと、そこには前のクラスの年下の子供達が普段通り、英語の歌を歌いながら授業をしており、心臓はバクバクしていましたが、とても安堵したのを覚えています。 まだ自分の授業までは少し時間があったので、教室の端の方で待っているのですが、その時に考えることは、どうしても先ほど見てしまった女の生首のこと… 半べそをかきながら、考えること数分…少し落ち着きを取り戻した頃、ある悩みが発生しました。 というのも、「このことを先生に報告するか?」ということです。 小学生の高学年になって「お化けを見た!」という恥ずかしさや「信じてもらえるのか?」ということもありましたが、何より悩んでいたことは この出来事を先生に報告するという行為が、自分の中で「ここのビルは生首が出る場所」ということを認めてしまう気がしたからです。 当然、英会話教室は毎週あるので、これからも通わなければなりませんし、何よりここは5階です。 帰る際は、必ずさっきのバレー教室の前を通らないと帰れません。 この生首のことを認めてしまったら、これからずっとあの女の恐怖が毎週やってくる…そんな気がしたのです。 しばらくそんな考えを巡らせていた中、結構に至りました。 それは「あれは生首ではなく、気のせいだった」と思い込むことです。 自己暗示のように、「今日は雨が降っていて、いつにも増して周りが暗かったこと」や「湿気が凄くて気持ちが悪かったこと」、「普段から暗くて不気味だったこと」など、さまざまな言い訳をつけて、ようやくあれは生首ではなかったんだと自己完結ができたころ、突然扉が大きな音をたてました。 そこからは同じ授業を受ける同級生の女の子が、泣きながら教室に飛び込んできたのです。 さすが生徒が泣いていることから、先生も前のクラスの授業の手を止め、その女の子に「どうしたの?」と優しく声をかけ事情を聞いていると…泣いている女の子がこのように語り出しました。 「生首を見た」と 私は再び全身に鳥肌が立ち、あの出来事が現実だったことを思い知らされます。 その後先生は詳細に「どこで?」「どんなのを見た?」と聞いています。 すると生徒は「1階で男の…落武者の生首を見た」というのです。 私が見たのは4階で女の生首 そう。このビルには複数生首が出るんです。 その後、私は英会話教室をやめました。 後のことは分からないのですが、大人になってから一つだけ気になることがあります。 それは先生が何故、泣いている女子生徒に生首の存在を詳しく聞いたのかということです。 何故「どこで?」「どんな生首だったの?」なのか… 今から考えると先生も何か見たんじゃないかと思えてなりません。

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