
中編
八甲田山の優しい軍人さんと高熱
けいすけ 3日前
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たい…と。」
その言葉に兵隊さん達は穏やかな表情をしながら頷いていました。
「ウーム…どうりで優しい雰囲気の暖かい空間なわけだ。これはお嬢ちゃんに礼をしなくては。」
「…これはいけない!中々熱が下がらないばかりか危険だ。」
「熱を下げようにも中々下がらなくて…。」
…私の容態に気が付いた兵隊さん達が顔を見合わせると私の頭を撫でたのです。
「…自分にも…君と同じ位の妹がいた。妹も高熱を出して…君と同じ位の年で……。」
「それは辛いな…。ワシにもお嬢ちゃん位の娘がいるんだ。」
口々に言いながらそれぞれ頭を撫でると、優しい光を当ててくれました。
「優しい心遣いの礼だ。妹さんは元気になるから安心しなさい。」
「お嬢ちゃんのおかげで暖かくなった。有難うな。」
…兵隊さん達に姉は頭を何度も下げていました。
次の日、私は元気になっていました。
後に、母から聞いた所によると…呼吸が無くて身体が冷たくなりかけていたのだと聞きました。
しかし、それは一瞬の事で直ぐに普通に戻ったそうです。
「一瞬の事だから寝ぼけたのかと思った。」
…と話してくれました。
「きっと栞の気持ちが伝わったんだね。…優しいお兄さんで優しいお父さんだったんだね。嬉しかったから熱を持って行って助けてくれたのかもね。」
…と母は言いました。
八甲田山の軍人さん達は恐ろしい方々ではありません。
後日談:
- …もしかしたらあの時に私は命を落としていたのかと今気が付きました。 一瞬死んでいたのかしら? 前世が高熱を出して命を落とした母方の祖母の幼い従姉妹でしたから…高熱を出すと身構えます。
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- 熱何℃?ken