親戚の家を借りた話の続きです。
今回は 4畳半に住んでいた 青大将の話です。
( 途中で 自殺した霊の乱入があります。 )

前に話した通り 4畳半に陣取っていた あの蛇です。彼(蛇)は あの家が空き家になってから 住んでいたんだと思います。

小さな子供の時から……或いは 卵の時から…

彼はいつも 押し入れの上段に 蜷局を巻いて鎮座していました。たまに忘れて 押し入れの襖を開けては 彼に威嚇される事も少なくなかったです。

押し入れを開けて 彼が居ない時は ちょっと心配したり 後から来た 私が言うのもなんですが……同居蛇的な感じでした。


ですが……ある時を境に 彼は 変わりました。
今までは シューシューと威嚇するだけだったのに いきなり 飛び掛かって来たり 時には指に噛みついてきたりしました。( 毒は無いです。 )

私が何か彼が嫌がる事をしたのか?と考えましたが 思い当たる事は何も無く 暫くはソッとしておこうと 4畳半に入っても押し入れを開ける事はしませんでした。


そうして月日が流れ 冬が近くなった頃 夜寝ていると シュルシュルシュルとナイロン製の紐のような物が擦れる音が耳元でしたので 目をあけると 真っ白な顔が目の前にありました。

髪の毛も真っ白。肌も真っ白。

なのに………目だけが 真っ赤。そして 細長く赤い舌。 それで それが何の化身なのか分かりました。
目の前にある顔の口から 細長い舌が私の鼻先でチロチロと踊る。

( 何が望み?何をして欲しいの? ) 私は心で話し掛けました。

でも 目の前の顔は 表情を変える事無く 私の顔を覗き込んだまま 微動だにしない。

この人?は……もしかしたら………そう思った時 それの顔が一瞬 歪んだ気がしました。

そして ほんの一瞬 目を細めて そして一瞬で煙の様に消えました。

金縛りに なってなかった。

それを意味するものは……助けて欲しい時。

自分達の力ではどうにも成らない 人の……人間の力を要するという意味。


それから 色々と彼を探しましたが 全くと言っていいほど 見付からなくて……
その度に 寝ていると 重い物をお腹に感じる様になり それが徐々に 耐えきれない程の重みに変わって行き 余りの重さに意識が飛ぶ事 数週間……。

検討違いな場所を探しているのかもと 4畳半の押し入れを探す事にして 襖を開けましたが やはり彼はいませんでした。

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