H 「は?そんじゃあのオッサンは そのKさんか?」
S 「違うっ‼Kさんは あんな黒くねぇし 背も低い !!」
U 「じゃああれ誰だよ?」
S 「知らねぇよ!そっそうだ 裏から回って最初の場所に行ってみよう。」
H 「あのオッサンに話し掛けた所か?」
Sは無言で頷いて 船の向きを変えて 島の裏側へ走らせた。

男の船は さっき見た時と 少しも変わらない場所にあった。男は 操縦席に居て 此方を見ていた様な気がした。

U 「行くのは 構わないけど あのオッサンが先回りしてるって事は無いのか?」
S 「多分 大丈夫だと思う。」
H 「なんで?」
S 「裏にも釣りスポットあるし…俺らがただの釣り好きなヤツらだと思ってるなら 来ないと思う。」そう言って Sは速度を上げた。

波に乗って 飛び上がる体を押さえつつ あの場所の裏まで来た。
岩と岩の隙間から 表を見渡したが あのオッサンの船は見当たらなかった。
もしやと思って後ろを見たけど ついて来てなかった。

海面を見ると
真っ直ぐに 船が走り去った 波の跡がスジ状になって見えていた。

俺達の船は オッサンが何かをやってた場所まで来ると HとUが辺りを怪訝な顔で沖を見ていた。Sは 棒を取り出し 海面に落とし グルグルと回した。

すると…網が棒に引っ掛かり 力任せに引っ張ると……「うっ⁉ 」と低く呻いた。
HとUは Sが呻いたので 何があった?といってSがいる方に歩いて行こうとしたら Sがボソッと言った。


「 見ない方がいい… 。」


その言葉を聞いて 何となく分かったんだ。
あのオッサンが乗ってた 船の持ち主と あの 野村って爺さんは あのオッサンに殺されてたんだって……。

そうだろう?って Sに言うと黙って 頭を左右に降った。
何かを言い掛けたが 有り得ないとだけ呟いて Sはスマホで 海上保安に電話してた。


その後 色々 海上保安の人に聞かれたが 俺とUは 船の持ち主も野村って爺さんも知らなかったから 早く開放されたが Sは知り合いだったからか ちょっと時間が掛かった。
その後 地元の警察が来て また 同じ事聞かれた。


警察から聞いたんだけど…
網に絡まって 亡くなってた人は 三人だったって……じゃあ あのオッサンも?

事故か事件か分からないって…言ってた。

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