なったので 底に船板をぶつけない手頃な岩場を見付け 碇を降ろし 岩場にロープを掛けて縛り船を固定して 三人は島に上陸した。

船の傍まで来た時 Sが「のむ爺さんの船だっ‼ 」と言った。
HとUは Sに 知り合いか?と尋ねたら Sは そうだと 答えて 船上に上がった。
三人で船上に上がり 船に付いている生けす等も見て回り のむ爺さんを探したが見付からなかった。

のむ爺さんは 野村という名字で お爺さんだったので のむ爺さんとみんなが呼んでいて Sもそう呼んでいた。

結局 船は故障か何かで 放置してあるんだろうと思ったが……Sには一つ気になる事があった。
のむ爺さんは 漁業で生活している筈なのに 船上に 網もブイもなく 生けすも空だった事が気になった。単に網を仕掛けた後って言われたらそうかも知れないけど 見渡しても ブイは何処にも浮いていない。

魚も一匹もいなかった。
いつもなら 網は無くても 魚が生けすに入ってる。いつもそうだったんだから 間違うはずは無い。じゃあ何で 船だけがここにあるのか?
海に落ちた?いや 爺さんは 70年間 漁業で暮らして来てる ベテランだ。落ちるはずは無い。

H 「そういえばさぁ さっきのオッサン なんでこの船に関わるなって言ったんだろうな?あのオッサンもSの知り合い?」と言われて Sは そういえば…誰かと勘違いしてた気がするといってた。

だとしたら あの男は誰なんだ?と三人で首を捻った。するとUが そういえば…と何か思い出した様に言った。

U 「最初にあったじゃん。あの場所でさぁ 俺見たんだよ。あの時 裏の方から出てくる時 網みたいなモノを海の中に落としたんだよね。話し掛けた俺達に驚いた感じで……」と言って沖の方を見てヒッと変な声を出した。

SとHは 同時に沖に目を向けて 驚いた。
さっき帰ったはずの 男の船が 少し離れた海の上に停まっていた。

三人は 顔を合わせた後 急いで船に戻り ロープを外し エンジンを掛けた 船の向きを変えようと あの男の船の位置を確認しようと 目を向ける。

H 「あのオッサンなんか気味悪いよな?」
U 「最初にあった時も あんま喋んなかったしなっ。さっき帰った筈なのに…なんか見られちゃマズイものでもあんのかね? 」
S 「何で話し掛けたか分かったわ。」
HとU 「 はぁ?」

S 「俺があのオッサンに話し掛けたのは あの船は……Kさんの船だ‼」

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