今から約12年前の冬、高校の部活帰りの道での出来事でした。


他の部活メンバーはバスで帰ったのですが、その日の私は、どうしても歩いて帰りたい気持ちにとらわれ、メンバーと別れ、ひとり、家への道を歩いていました。

帰り道の途中には墓地があります。
小さい頃から、

「御先祖様方のお家だよ~。ずうっと、あなた達を見守ってくれてるんだよ~。」

と教えられて来たので、私にとってはとてもありがたい場所でした。
日が落ちて暗くなると不気味な場所になりますが……(笑)


その墓地半ば辺りまでくると、

「ぽつ……ぽつ……」

と雨が降り始めました。
鞄から常に持ち歩いている折りたたみ傘を取り出し、広げようとした時、

「コッ 、コッ……」

とハイヒールで歩いてるような音が聞こえました。
私は

「本格的に降り始めたかな?」

と思い、急いで傘を被り、墓地を抜けようと急ぎ足で歩きました。

もうすぐで墓地を抜けようという場所に来た時、また

「コッ……コッ……」

先程聞いた音と同じ音……
と同時に、近くにあったカーブミラーに、私の姿と私の後ろ……およそ10m辺りを赤い傘とロングコート、ハイヒールを履いた女性が歩いていました。
(カーブミラーって、雨が降ってる時にはおおよその形と色しか映らないんですが、その女性の姿は何故かハッキリと映し出されていました)

「この時間に、この道を通る人、私以外にもいるんだなぁ……」

そう思い、振り返ってみると……
誰もいない……

(周りは全て、お墓なんです!私の後ろ側は特に!)

「……小道にでも入ったんだろう!(汗)」

無理矢理そう思い込み、私はまた歩きだしました。

墓地を抜け、住宅街につき、しばらく歩いているとバス亭近くに着いた所でふと、上を見ると
(なぜか曲がり角でもないところにカーブミラーがある(笑))

先程の墓地で鏡越しで見かけた女性が5m程後ろにいました。

私は少し怖くなり、家までの道をもうダッシュ!
その間、ずっと女性の

「コッ……コッ……コッ……」

という音が周りに響いていました。
(少なくとも、私には聞こえていました。)

ようやく家に着き、鍵を開け、扉を閉める。
母に

「どうしたの?そんなに息きらして……あ、洗濯物出すなら、夜のカン(冷たい風)で乾かすから回してきてー」

と言われ、

「えぇー!?……こっちはそれどころじゃなかったのに……」

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