娘さんのことを話してくれました。

少し不器用で人とは一線距離を置いて接する。だけれども、凄く優しい子だったそうです。

ひとり暮らしを始めた矢先、一週間程連絡が途絶え、心配になって部屋に行ったところ、首を吊って亡くなっていた。

遺書には、好きな人ができたこと、しかしその男性は偏屈な性癖があり、別れ話を持ちかけるとストーカーまがいの行為を繰り返しするようになった。そして、自殺に至るまでの間のことが書かれていたという。
でも、その殆どは家族に対しての謝罪だったそうです。

「こんな弱い娘でごめんなさい…話せないまま、いなくなって、ごめんなさい…」と……


「もっと頼ってほしかった。悩みを打ちあけてほしかった。頻繁に娘の様子を見に行けば…生きていてほしかった…」

母親の言葉に、親戚の人達も

「命あっての人生さ〜、どんなに苦しくても、親より先に死んじゃぁダメよ〜」

「誰も苦しんでいることに、気づいてやれなかったんだ。あの子を追い詰めた男は憎いが、最終的にあの子を死に追いやったのは私等かもなぁ。元々、口数少ない子だった。こっちから聞いてやるべきだったんだ」

と悲しい顔をしていた。

ふと、お墓の方を見ると、彼女がいた。
いつもの、追いかけてくる時の無表情の顔ではなく、母親を哀しそうな目で見ていた。

「あの子の話は他の人には普段言わないんだけど…あなたには話を聞いてもらいたかった。なぜかしらね。」

母親は、涙をハンカチで拭きながら私に微笑んだ。

「そうですね。…もしかしたら、娘さんがお母さんを心配しているのかもしれませんね。悩みや悲しい話は誰かに話すと、少しは楽になりますから…」

私がそう言うと、

「そうね…ほんの少し、楽になった気がするわ。ありがとう。」

と、母親は私に笑いかけ、最後にお墓を向いて手を合わせるとじゃあ、そろそろ…片付けの準備を始めた。

片付けを始めた母親と親戚の横で、彼女の霊は私に対して今までの怖い顔ではなく、優しい笑顔を浮かべ、小さく手を振ってお辞儀をした。

私は彼女に笑顔で小さく手を振ってから、私の家族がいる場所へ向かった。
それ以来、彼女の霊は私の元に現れていない。

今思うと、彼女は1人で夜道を歩く私に警告していたのではないだろうか。
早く家に帰す為に、わざと怖いお化けのふりをして…
私の憶測にすぎないですが(笑)

この怖い話はどうでしたか?

コメント(13)

ほん怖やんけ

どういう心境で彼女が追いかけてたのかはわからないけど、心根のいい優しい人だったんだな、と心がじんとなった 真実を投稿者さんが知ることになったのも巡り合わせだと思うし、これからの人生への教訓というか、餞だったのかとも思う

いい話ですね、そして良い霊でよかったですね‥!

ちょっと涙出る良い話だった

どこか怖いですか。

ええ話や

怖い話にはよく恐ろしい姿で登場する霊が出てきて悪意のあるように今までは思っていましたが、全てがそういうわけじゃないんだなと思いました。 何かを伝えるために色んな姿で現れているのかもですね。 良い話でした。

めっちゃいい話だった

霊って、普通の人間のような見た目で、生きているのと違うとこって雰囲気くらいだから… お疲れ様でした!

soraさんの投稿

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