あった。
“もういいかい“
はじめはふざけているのかと思ったが、日に何度も同じ内容のメールが届くようになった。真弓はそのメールが届く度、速攻で返信した。
“まーだだよ“
「……そう返信しないと、彼が迎えに来ちゃいそうな気がするの。一日中落ち着かないのよ。トイレに行ってても、食事をしていても、仕事をしていても、ひっきりなしにメールが届くんだもの。分かる?彼が来ちゃうのよ。だから私、スマホが手放せないの」
真弓の手の中にあるスマホが鳴った。真弓は「ほらね」とでも言いたそうな目で私を見た。
「じゃ、私はまだ仕事があるから」
真弓は踵を返してデスクへと戻った。話をしている間、真弓は一度たりとも瞬きをしていなかったことに私は気付いた。