◆肝試しの惨劇
これは僕の友人がほんとに体験したことです。
以下、友人目線で話を進めます。
ある時、度胸試しをしに地元でも有名な空き旅館に言った時の話です。
多ければ多い程楽しくなるし、心強い。そう思った僕はその旅館に7人で行きました。
この時の友人は武闘派が2人❪武A.B❫、霊感が強いのが2人❪霊C.D❫、イイヤツなんだけど思想が危ない奴が1人❪E❫、そして写真部の奴が1人❪F❫。
Fは写真を撮るために呼ばれて、かなり臆病な奴だった。
そして皆で準備を整えて、いざ旅館についた時に異変が起きた。今思えば、この時にヤバイと思って入るのをやめておけば良かったと思う。
突然、Cが「おいF、そこ撮って」と言い出した。Cが指さしたのは車の前の電柱だった。
Fはよく分からないまま写真を撮って、俺らに見せてくれた。特におかしい所はない。只の田舎の電柱だ。
するとDが写真の奥の方を指して
「ほら、ここになんか変な女の人いるじゃん。」
慌てて指さされたところを見ると……いた。
黒い、喪服?の様な姿の女性が立っている。この辺に斎場はない。墓場もない。その時は7月で、かなり熱かったから妙だった。
「なぁ、この人さ、手に持ってんの……なにこれ棒?……か?」
女性の手には何か太い、褐色の物体があった。
「おいおい、勘弁してくれよ。」
「どうした?」
「なんかバックミラーに知らない間に髪がかかってる」
俺は勢いよくミラーを見た。確かにある。そして同時に驚いた。
この車は10人乗り。E❪金持ち❫が興味本位で買った装甲車である。車高は200cmのオフロード仕様であった。なのに、それを超えるほどに髪は長かった。
「何年放置したんだよ……綺麗な髪なのに……」
こんな状況でもそんな冗談を言うAは本当に肝が座っている。
「なんか幸先悪いな。まあいいや、入ろうぜ」
もしもの時のために用意したリュックを担ぎ、Bが車を下りる。それに続いて俺達も車から降りた。
A「結構寂れてんのな」
C「見た感じそんな危なそうではないね。」
E「早く行こうぜ、ほら、ライト」
俺「あざっす」
Eから貰ったLEDライトをつける。すごい明るいです。
全員で一緒に入り、その後2班に分かれた。
俺、B、C、FとA、D、Eという分け方で探索を開始した。一階は俺ら。2階はAら。
俺「Cー、なんかいる?」
C「まだこの辺は居ないねー」