これは2012年夏、横浜から鳥取に行く夜行バスで起きた事件の話。
当時の彼女(現嫁)の経験談のため、うる覚えだが、そこは容赦してもらいたい。ちなみに彼女はこの事件がトラウマで、この事件後、長距離バスは2度と利用していない。

詳細を知っている人がいたら教えてほしいが、LINEのトーク履歴を漁っても当時の日付が探せなかった。当時、その話に衝撃を受けて、「日付+事故」でググったが何もヒットしなかった事は覚えている。

その頃は、長距離バスの居眠り事故が世間で話題になっていて、ニュースで連日取り上げられていた。記憶に残っている人も多いと思う。
当時、俺も彼女も、事故に関してはそんなに神経質に感じておらず、「一応気を付けてね~」くらいにしか話していなかった。

その事件は朝方、もう目的地に差し掛かっている高速道路上で起きた。
長距離バスには通常、運転手が2人いて交代しながら運転をするのだが、ここではメインドライバーを「運ちゃんA」サブドライバーを「運ちゃんB」とする。(ちなみに当時1人体制が多く、それが社会問題化していたと記憶している)

ひとりの客が運ちゃんAに声をかけた。会話は聞こえなかったが、どうやらその客はトイレに誰かが籠りっぱなしで、いつまで経っても出てこないので、利用できない事を訴えていたようだ。
そこでバスは最寄りのSAに立ち寄ることにした。運ちゃんAも不審に思っていたのだろう。なぜならトイレに籠っていたのは運ちゃんBで、かなり長い時間戻ってこなかったのだ。

SAに付き、運ちゃんAはトイレのドアをノックし、声をかけた。だが返事はない。もしかしたら寝ているのかもしれない。すぐに運ちゃんAはドアのカギ(コインで回るやつ)を開け、中に入っていった。

案の定、運ちゃんBはトイレの中にいたようだ。しかし居眠りが原因で出てこないわけではなかった。

運ちゃんBはトイレの中で意識を失って倒れていたのだ。運ちゃんAは運ちゃんBを抱え込み、トイレから引きずり出してきた。連日バスの事故がニュースで話題になっているのに、タイムリーだな。このドライバー大丈夫かよ、と一抹の不安を感じた。

次の瞬間、その奇妙な事件は起きた。
後ろから抱えられた体勢のまま、運ちゃんBの口から大量の血が吐き出されたのだ。

彼女が言うには、その勢いはすさまじく、吐血が勢いよく地面に飛び散り、その血は近くに座っていた彼女の足元まで及んだらしい。
車内

通常版で読む