この話は20年以上前の話なのですが、
都内に住む私が何故だか祖父が住む福島県会津若松市にある山奥から市内にある自動車教習所に通って免許を取得した時の話です。
祖父の家から市内まで原付バイクで30分弱の距離を毎日通っていたのですが、季節はもうすぐ雪が降り出す10月後半、
最後の教習を終わらせ教官と無駄話をし帰る時は21時頃だったと思います。
祖父と祖母は早く寝てしまうので、迷惑にならない様に離れで寝ていた私は寝ているであろう2人を気遣い離れで食べる為の夕飯というには遅いお弁当を2つ買い原付バイクを走らせていました。
祖父の家は山の上にあり、
車1台がやっと通れる幅の、街灯等一切無い山道をひたすら原付バイクの灯りのみで走ります。
山道の入り口には数件の家があるのですが、その後頂上までは民家は一切無いので毎度気合いを入れてフルスロットルで行くのですが、いかんせん車等無かった時代に作られた山道なので急勾配に無茶なカーブ、崖なのにガードレールさえない道…
暗くなると山頂の集落の方はほぼ通りません。そんな山道を15分程走ります。
もうそろそろ雪も降ろうとする季節だと虫の声もない自分の原付バイクの音だけが鳴る暗闇を走っていると途中の木が大きく揺れた気がし、バイクを停め暗闇に目を凝らして見ると何かが残り僅かな木の実を食べている影が薄っすら見えます。
「狸?」「イタチ?」それにしても大きいな…(ヤバい!)咄嗟にアクセル全開で走り出した途端、何かが木から落ちる音と共に結構大きい木の折れる音、
焦った状況の中(落ちた音デカイ!)
そう感じました(笑)
原付バイクの前かごには先程買ったお弁当2つ分の美味しそうな匂い…
ミラーで確認しようにも暗闇で後ろは一切見えず、
ただ落ち葉をザザッザザッと踏みながら狸やイタチの呼吸音ではないフゥーフゥーという小動物ではあり得ない立派な呼吸音…
落ち葉を踏む間隔が明らかに広い、
音は徐々に近づいて来るが、急勾配の為速度が出ない!やっとの40キロしか出ない!なんだか解らない生き物に襲われる!
とにかくパニックでした。
500メートルほど行けば少しだけ道が緩やかになる!それまで絶対右手を離しちゃダメだ!と姿勢を低くして空気抵抗を減らす等さほど変わらなくても良いから少しでも速く!と考えていました。
呼吸音はフゥーフゥーからブフゥー!ブフゥー!に変わり、もう真後ろに確実に居る!殺られる…と思った時に道が緩やかに

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