以前ある小さな会社の事務員をしていた

その会社は三階建ての一階と二階を借りていて、一階の一部ではダーツバー、二階には事務所だった

私は普段事務所で、事務仕事やそこら辺の掃除、お客さんの対応、電話での問い合わせへの対応なんかの仕事をしていた

営業マンも数人いて、週に一度全体会議みたいなことにも参加していた

たまの空き時間に、その営業マンたちと他愛もない会話をする中で、この建物には幽霊が出るなんて話を聞いたことがあった

入社して間もなかった私にみんな色々なことを教えてくれた

ある日、トイレ掃除が終わり換気のために開けていた窓を閉めようとした時、ふと下を覗いてみた

隣は高齢者用のアパート

隣との間には狭くて草がボウボウの空き地があった

ゴミみたいな物も落ちていたりして気持ちは良くない

そんなことを思いながら窓を閉めようと顔を引っ込めた時、視界に何かよぎった

もう一度顔を出すと、オレンジと黒の服を着た人が隣のアパートの壁からヒョイと飛び出してきた

はっ、と驚いた

顔は真っ黒に見える

とにかく、その人は隣と私の会社の間を小走りで走り回っていた

時々、隣のアパートに消えたかと思うと、また飛び出してきて、また今度は会社の一階に入る

なんだろう?と不思議だった

そして私の足の真下の壁から消え、そのまま出てこなくなった

まさか、一階にいるのかと段々怖くなり、慌てて事務所に戻った

そんな私を見ていた部長が、手招きをする

「どうした?いたか?」

部長も以前から、この建物には何かがいると話していた

今見た不思議な、走り回る人の話をした

なぜか部長は満足げな笑顔で私の話を聞いてくれた

「また見たら教えてくれよ」

と言って外勤へ行った

数日後、私の嫌いな社長が久々に事務所に降りてきた

たまに三階の社長室にいて、用事がある以外は会社にも出てこない

社長にはあまり会いたくないので、トイレ掃除をしてきますと事務所を出た

換気のために窓を開け、掃除を始めた

同じ二階にある美容室のBGMや、すぐ前の道路工事の音が急に止んだ

あっ、と気づくと気配がする

でもあまりない不思議な気配

見られているとかの気配ではない

そしてその気配はすぐに消えた

慌てて窓から下を覗いてみた

また忙しく走り回る人がいた

トイレ掃除を終わったことにして事務所へ戻った

その日は会社が終わったら、下のダーツ

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コメント(1)

すごく怖くて肌がぶるぶる震えてそわそわしました。そしたら後ろにその幽霊がいたらどうしようとこわくて、勇気を出して後ろを見ると… いなかったので安心しました。実は、私幽霊が見えるのです。

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