これはつい最近起こった実話。

俺の姉は子供の頃から、猫のぬいぐるみをとても大事にしていた。
確か親父が長期の海外出張から帰ってきた時に買ったペルシャ猫のぬいぐるみで、猫好きでパパっ子でもあった姉はそれを実の妹のように可愛がり『ミミコちゃん』という名前をつけていつも何処に行く時も肌身離さず持ち歩いていた。
さすがに中学生になるとどこにでも持っていく、ということは無くなったが
いつもベッドの脇に置いたインテリア用の小さいチェアに座らせて、社会人になった今でも大切にしていた。

事件が起こったのは数ヶ月前
たまたま親戚の姉妹(幼稚園くらい)が遊びに来ていたのだが、姉の部屋に勝手に入ってしまったのだ。
二人はミミコちゃんを見つけるや否や「欲しい!」と取り合いを始めた。
そして経年劣化でボロボロになっていたミミコちゃんはそのままビリっと引き裂かれ、真っ二つになってしまったのだ。
俺と姉は仕事に行っていて、たまたま同じタイミングで帰ってきたのだが、真っ二つになったミミコちゃんを見た姉の顔を俺は忘れることができない。
ショックや絶望なんて言葉じゃ言い表せないような顔をしていた。

俺は姉が泣き出すか怒り出すんじゃないかと思ったが、姉は冷静にミミコちゃんを拾い上げると
「これもうボロボロだったから捨てようと思ってたの。だから気にしないで」
と小さく笑った。
俺はそれが姉の本心ではないことに気づいたが、その場の空気もあり何も言えなかった。

思えばこの時にちゃんと姉に寄り添ってやればよかった。

それから暫くは姉はいつも通りだった。
が、ミミコちゃんが引き裂かれた日からちょうど一週間経った頃、急に不調を訴えるようになった。
なんでも腹が物凄く痛く、立ち上がれないのだという。
このままでは仕事にも行けないと親が病院に連れて行ったが、特に異常はなし。
ストレス性のものだろうと鎮痛剤を処方されただけだった。

しかし姉の症状は一向に良くならず、むしろ悪化していく一方だった。
まるで身体を裂かれているかのような悲鳴を上げ、目を見開いたまま失神することもあった。
何度も救急車で運ばれたが、やはり病院では異常なしの診断。
家族も疲れ切っていた。

ある時、いつものように姉が運ばれ病院の待合室で待っていると、見知らぬ老人が声をかけてきた。
「きみ、身内につかれてる人がいるだろう」
この時俺は「疲れてる人ってなんだ?」と思ったけど、今思うと『憑

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コメント(2)

ガチめに怖……

凄い…こんな事があるんですね…

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