初夏の話。

知人が持っている
ある地方の別荘を貸してもらえる事になったんで、
俺と彼女は車で小旅行にでかけたんだ。

チェックイン時間とか気にする必要もないので、
途中に色々寄り道していたら
予定よりおそくなってしまった。

昼間は、はしゃいでいた助手席の彼女も
少し疲れたのか口数が少ない。

陽が落ち始め、
あたりがだんだんと薄暗くなる感じ。

それに少し風が出てきたようだ。

そんな中、海岸沿いの細い国道を
目的地に向かって単調に流していた。

俺の方も知らない道、
ほとんど対向車もなく寂しい感じの上に、
これまた街灯がつくかつかないかの淡い紫色の夕暮れに
なんか妙な帰巣本能みたいなのを感じていた。

そんな時、彼女が

「あ、おめん屋さんだ」

と前方を指さした。

確かに進行方向の左前方に
何か小さな小屋みたいなのが見える。

心持ちスピードを落として近づくと、
そこに屋台がぽつんと止まっていた。

もう何年も前に営業をやめたであろう
朽ち果てたドライブインの駐車場にそれはあった。

俺は

「ホントだ。確かにおめん屋、、、だな。」

とつぶやいた。

というのも、ひとり用のリヤカーの荷台部分に
百葉箱のような小屋が組まれており、
そのこやの壁面におめんがずらっと飾られていたんだ。

「へー、変わってるね。こんなの見るの初めて。」

と彼女は少し元気が出てきたようだった。

縁日の屋台なんかでは、
たまに見かけることもあったが、
移動式は俺も初めてだった。

彼女はシートベルトが邪魔だとかぶつぶつ言いながら、
窓から身を乗り出すようにして
車の通過にあわせて、おめん屋の方をずっと見送っていた。

それからしばらく走っている間、
彼女は何かを考えていたようだが、

「ね、今のおめん屋さん、ちょっと覗いてみようよ。」

と言い出した。

俺は、わざわざUターンしてまで、、、
と少し面倒に思ったけど、
彼女の意見に従うことにした。

戻ってみると、
電信柱の街灯の光にぼぉっと照らされた

おめん屋がたたずんでいた。

車を降りて、改めて見てみると、
屋台の屋根には黄色やオレンジ色の羽のかざぐるまが数本、
からからと音をたてて回っていた。

四方の壁には、縦4段で
横に等間隔にびっしりとおめんが並べられているようだ。

そしてそのおめんは縁日では
あまり見たことがないようなものばかりだった。

普通ならアニメや

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コメント(2)

知ってるけど 最後まで読んでました

気持ち悪いですね((((;゚Д゚)))))))掛かってたお面が引っ込む所は震えましたよ。

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