今から20年くらい前だが、仕事の関係で遠方の町でしばらく暮らすことになった。交通が不便な土地らしいので自家用車は必須と言われた。予めトラックで新居に荷物を送り、そのあと俺は車で、実家から現地に直接向かった。
そこは瓦屋根が並ぶ昔ながらの風景の町だった。そして新居は割と新しい二階建てのアパートで近代的な感じだった。
俺は1階の真ん中の部屋に住むことになった。ベランダのガラス戸を開けると、わずかな外堀を挟んで反対側に線路があった。電車が通るときに煩いと嫌だなって思っていた。
そのあとテレビを見ながら休んでいたが、電車が通り過ぎるのを見たり、音を聞いたりすることは全くなかった。俺は田舎だから本数が少ないのかなって思っていた。
その日は夕食を食べたあと、いくらもしないうちに寝た。夜遅く、どこからともなく
カタンコトン・・カタンコトン・・
と電車の音が近づいてきた。俺は半分寝ながら
(電車が来たんだな)
と思っていた。そして電車は俺のアパートに近づいてきたようだ。ふと、外が明るくなったので何気なく窓に目をやると俺は凍りついた。
電車に乗ってる多数の乗客全員が電車の窓にへばりついて俺の部屋を見ていたのだ。
(ひいいっ)
電車は停まっているようだった。だからといって「普通人んち覗くか?」って感じだが。普通なら、戸を開けて怒ってやるところだが、乗客が生気の抜けた不気味な目で俺を見ていて俺は蛇に睨まれた蛙のように動けなかった。そのあと、気がついたら寝てしまった。
翌日、新しい職場での挨拶まわりの車の中で上司にその話をすると、
「その路線は十何年も前に廃線になって、今は走ってないよ」と言われた。俺は「え?」と驚くと、
「しかもその話、君が初めてじゃないんだよね。あの線路沿いで幽霊電車をみた話、あのアパートに限らず、いくつかあるんだよ」

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コメント(2)

投稿者です。 ディーゼルカーってのかな?電線(電柱?)のない電車でしたよ。ただそれは線路とか昔の写真をみた感じで、白黒写真とかなので色は分かりません。茶色とかの地味な色かな? 現実はそうでも、幽霊電車の正確な形や色がどうだったかは分かりませんww

その電車がどんな車両だったのか、鉄ヲタとしては気になります。

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