息をたてる父の横顔。
それらは、僕の先程までの恐怖心を優しく包み込み、僕の心を安堵に塗りかえてくれました。
「僕は耐え抜いたんだ……。帰って来たんだ…。こっち側に……。」
僕は安心感からか、再び眠りにつきました(と言っても、なかば気を失うような形だったのだと思います。)
その日以来、あの「何か」は来なくなりました。
今でも怖い夢を見る事はあるのですが、あの感覚はなくなりました。
仏さんの部屋は、未だにトラウマですが…。
あの夜のアレは一体何だったのでしょう。
今にして思い返せば、恐怖心が見せたただの夢だったのかもしれません。
しかし僕は思うのです。
いつかまた、あの感覚が来た時、僕はあの夜のように反応できるだろうか。
反応できたとしても耐えられるだろうか。
次こそ、「あっち側」の世界に連れて行かれるのではないか。
あの夜の事を思い返すと眠るのが怖くなる時があります。
このような体験をした人は僕の周りにはいません。
あれはただの夢だったのだと思います。
しかし、気をつけてください。
もし、もしもの話です。
睡眠中に意識が覚醒したら…。
そして、身体に浮遊感を感じたら……。
すぐに、「こっち側」のものなら何でもいい。
すぐに捕まってください。
そして、決してそれを離さないでください。
あなたが掴んだものは、おそらくあなたと「こっち側」を繋ぐ唯一の命綱。
それを離せば、あなたは「あっち側」に連れて行かれ、二度と戻ってこれないかもしれません……。

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コメント(2)

あらよっと♪あっち側〜♪こっち側〜♪

連れてかれろ!

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