らなかったのか、中にある蛍光灯がチカチカと瞬きながら点く。
「あっそ。んで、どうするの?」
「まずは一階から十階までの階数を全部押す」
何度やっても全部は点かない。
若干飽きてきている僕とは正反対にユウキは必死だ。
当たり前だ。今一階に止まっているのだから、一階のランプなんて点かない。
「なあ、謎解きしたいんだろ? 取り合えず一番上行こうぜ。それで解決するかもだろ?」
ユウキは僕の言葉を聞き、口をポカンと開け、呆けた。
「お前、頭良いな」
誰でも考え付きそうなものだが、お馬鹿なユウキ君は考え付かなかったようだ。
こいつジャニーズの高学歴アイドルに似てるのに天然だったのか、知らなかった。
しかし、頭が良いと言われてちょっと嬉しくなる僕もまた、頭が悪いのだろう。
最上階に着く。居住用の部屋のドアが通路の壁に均等に並んでいるだけだ。
天井の蛍光灯がパチパチ音を立て切れかけているのが少し怖い。
だが、通路が四角くもなければ、トワイライトゾーンに繋がっているわけでもない。
きっとこのエレベーターの怪談を知る者は、一階のエレベーターで悪戦苦闘して先に進めず……。そうか、何となく分かった。
「なあユウキ。俺、分かっちゃったんだけど」
一階に戻り、小学生のようにエレベーターのボタンを連打するユウキ。見ていて滑稽だ。
「うるさい。今忙しい」
イライラが伝染する。冷たく言う一言に、カチンと来る。
「ねえもう帰っていい? 僕疲れちゃったよ。主に精神面で」
「はあ!? ふざけんな! 俺と一緒に謎解くって言ったじゃねーか!」
いや言ってないし。何熱くなってんだよ。
「もういいよぉ、飽きたよぉ」
「帰るんなら帰れよ! マジむかつくわリョウ。お前ぜってえ後悔させてやるからな」
おお、こわ。それじゃあお言葉に甘えて帰らせていただきます。
クルマに乗り込んだのはいいが、帰りアイツ足どうするんだろ? という素朴な疑問と罪悪感が生まれた。どうやら先ほどは僕も熱くなっていたらしい。売り言葉に買い言葉だ。ちょっとだけ待ってやるか。
prrrrr
「もし。リョウ今どこだ?」
ガクトさんからだ。
「お疲れ様です! まだ近くにいます。何かありましたか?」
「ちょっとお客さんの相手してくれね? 俺もう寝たい」
「了解です! すぐそっち行きます」
「ユウキもいるか?」
「今ちょっといないですけど、連れて行きます」
「頼む。早めにな」
先ほどのクサクサした気分とは一

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コメント(2)

男でも女でもないお客様候補の化け物がいるマンションの方が怖い。

面白いです。

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