バイト先の仲間及び上司と肝試しをすることになった。
常連のお客様一人とそのご友人二人。僕とユウキ(源氏名)、そしてガクト(仮)さん。
女二人、真ん中の人一人、男三人、計六人。
名目上はお客様へのアフターサービスと新しい顧客開拓の準備行為。
売上が急激に下がったのがこのようなサービス残業をする理由だ。
不況を理由には出来ない。
その時期にゴソっとお客様が来なくなったのだ。サービス低下の証拠だろう。
潜在的な顧客を含めても、お客様三人に僕たち三人を当てるのは少々過剰だと思う。
だが常連のお客様は指名料ダントツのガクトさんを二時間以上拘束できる相当な太客。
なので、そのご友人にも期待をこめての放出なのだろう。
しかし正直言うと、ナンバー1であるガクトさんへの接待色が強い。
お客様三人も「あれ」が目的だ。
つまらない話だろうが、大声で笑う。自慢話は褒め称える。
わざとらしく、大袈裟ぐらいが丁度いい。
外面、男女が六人で和気藹々。
内面、各人の思惑で虎視眈々。
「おい、リョウ。それお姉ちゃんマンションだろ?」
焚き火越しに、ガクトさんが僕の源氏名を呼ぶ。
照り返しで元々深い彫りの顔立ちがまるでマネキンのようだ。
「流石! これ、僕の地元の話だから勝算あったんですけど。マジ何でも知ってますね」
「お、そうなのか。何度塗りなおしても赤い文字で浮かび上がるんだってな。TVで見た」
「なにそれ~。怖~い」
男ではないお客様予定の一人が黄色い声をあげる。全く怖がっているようには見えない。
食虫植物のような凶悪なマスカラに彩られた目で、ガクトさんを見つめる。
どうやら既にガクトさんのことを気に入ったようだ。言い忘れたが、女でもない。
ユウキが次の話に移る。
「じゃあ、ガクトさん、四角い部屋は?」
「あ。あーし、聞いたことあるかもぉ。四人が遭難して寝ないようにして、助かるのでしょ」
アピールするのはかまわないが、それではただの良い話だ。
「山岳部とかワンダーフォーゲル部だかの奴らが、遭難から命からがら帰還。実は、その生き残った方法に重大な欠陥があることに後で気づく、ってヤツか。有名な話。基本だな」
「知ってますねえ。なんでそんなに詳しいんですか?」よいしょ、よいしょ。
僕の言葉にユウキが被せる。
「違います、そっちじゃないです。マンションとかホテルのペントハウス、エレベーターから直結する部屋あるじゃないですか。あんな感じで、エレベーター

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