ば、馬鹿!風のせいに決まってるじゃん、ビビんなよ!」


せっかく本物の幽霊が開けてやったのに風のせいかよ。

回さなきゃ開かないドアノブなのに。

「は、入るぞ。」

三人がゆっくりと部屋の中に入ってくる。


次はそうだな〜、これを使うか。

俺は部屋の隅に置いてあった車椅子を、三人に向かって少しずつ動かし始めた。

キィキィキィキィと、さびれた音が部屋に響き渡る。

「うわ、うわぁ!車椅子がー!」

「マジで洒落になんない、マジやばい、やばいやばいやばいやばい!!」

自称シャーマンの末裔と天才霊能者は、気の毒なくらい足が震え怯えている。

あれ?俺最初に『観察するだけ』って言ったっけ?

まぁ、たまにはこんな事もあるさ。

特にこんなホラ吹き中学生には、ちょっとお仕置きも必要だろ?

幽霊だって皆が皆 俺のように善良な奴ではないんだし。


「拾ったよ!ここに落ちてたボールペン!早く逃げようよ!」


気弱君の一言で、ビビり二人も悲鳴を上げながら一目散に逃げて行った。

やれやれ。

今回のお客はやかましい奴らだったな。

窓から下を見ていたら、ちょうど三人が飛び出して行ったとこだった。

これに懲りたら、シャーマンだの霊能者だのと嘘つくんじゃないぜ?

痛い目に合う前にな。




それにしても、あの三人の中で1番の嘘つきは 気弱君だったとはね。

見えないフリも大変だな。

最後ここを出て行く時に、振り返って俺に手を振っていきやがった。

しかも笑顔で。

ありゃあ大物だわ。

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コメント(32)

霊になった視線………これはまた違った視点で描くってのは素晴らしいです^^

幽霊がこれ書いたのか!すげー

最高ー

面白いです。

傑作選(・∀・)

面白かったです。

すごくおもしろかったです❗

これ好きですわwww

視点が斬新!

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