小さい頃は、同じような夢を何度も見ることがあった。

階段からジャンプして飛ぶ夢を見た時は決まってベッドから落ちていたし、トイレで用をたす夢を見た時は、恥ずかしながら、漏らしていることが多かった。

似たような経験をした方も多いと思う。

歳を重ねるにつれて、夢を見ること自体少なくなってきたが、今でもやけに鮮明に覚えている夢がある。

私がその夢を見たのは3回。

初めの二回は保育園の年長の頃。

三回めは小学校の一年生の頃だったと思う。



その夢の舞台は私が預けられていた保育園。

友達も、先生もいて、大好きだった遊具や砂場も現実の通りの位置にある。

唯一違うのは「おにばば」が出てくること。

あの昔話の絵本に出てくるような、おっかないおばあさん。

私は夢の中で、おにばばに追いかけられる。

どれだけたすけてと叫んでも、周りの先生も友達も気づいてくれない。

まるで私とおにばばが見えていないようだった。

最初にこの夢を見た時は、園庭でおにばばに追いかけられたが、振り切り逃げ切った。

夢の中で走っている途中に目が覚めた。


それからしばらくして、また同じ夢を見た。

やっぱりおにばばはおっかなくて、必死に叫びながら逃げたが、誰も気づいてくれない。

しかも、今度はなかなか目が覚めない。

おにばばが後ろに迫ってきて、今にも捕まりそうなところで目が覚めた。

汗をびっしょりかいて起きたのを覚えている。

それからしばらくは、おにばばの夢を見なかったのだが、小学校に入学してすぐだったか、再び同じ夢を見た。


今度も同じ流れ。

おにばばに追いかけられて、私が叫びながら逃げる。

誰も気づいてくれない。

捕まりそうになる。

もう二回見ているので、小学生でもさすがにこれが夢だとはわかる。

早く覚めないかなー。なんて思いながら逃げ続ける。



ところが、夢は続いた。

とうとう私はおにばばに追いつかれ、服を掴まれ捕まってしまったのである。

ああ、昔話のようにおにばばに食べられてしまう。


そう思ったところで、私の体はおにばばの魔法により(その時はそう思った)ジャガイモに変えられていた。

そして囲炉裏の上でグツグツと煮えている鉄鍋に放り込まれ、味噌とワカメと一緒に煮込まれた。

私はジャガイモに変えられたまま、鍋から飛び出し、跳ねながら逃げた。

するとすぐにまた、おにばばが追いかけてきた。

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