学生の頃、暇つぶしに夏の夜中に心霊スポットを巡るのが仲間内で流行していた。

その日は都内で有名な某トンネルへ俺含めて5人で向かった。時刻は深夜0時ごろ。
そのトンネルはちょっとした山の中腹にあり、今では使われていないため立ち入り禁止となっている古い隧道。噂ではトンネルを出た所にある家屋に異常者が乱入し、逃げ出した家人がトンネルの中で殺された・・ということになっていた。そしてその家屋は今や廃屋となり、その廃屋やトンネルの中に霊が出る、というのだ。

俺たちは各々懐中電灯を手に、廃屋とは反対側の入り口から真っ暗なトンネルの中に侵入した。有名な心霊スポットだったので、フェンスが破壊され、簡単に出入りできるようになっていたのだった。トンネルはかなり古い物で、大昔に手作業で掘られた代物だ。車が通れる幅はなく、むき出しのごつごつした山肌がコンクリで塗り固められた粗っぽいつくり。

前提として、俺はそれ以前からちょいちょい変なものを見たり体験したりすることがあり、勘違いかな?と思いつつ、霊感があるのかもな、と思っていた。

この日は男5人もいたので、みんな全然怖がっておらず、むしろ楽しげですらあった。トンネルが見えてきたときも「うわ~こえ~」とワイワイ騒ぎながら歩いていた。

トンネルの中に入るとひんやりとした空気が流れた。当然ながら出口も何も見えない完全な真っ暗闇。懐中電灯が照らす範囲しか視界が利かない。地面は漏水でべちゃべちゃのどろどろ。滴が落ちる音が狭いトンネル内に響いていた。
「うお~雰囲気あるな~」
「ここで人が殺されたってマジかよ~」
「こえ~~」
仲間たちも少なからず恐怖心は抱いていたのだと思う。だからこそあえておどけて恐怖心を誤魔化していただけだったのだろう。
そのとき俺は、不意に何者かの気配を感じた。

俺は2列になって進む5人の中で右後ろを歩いていた。
気配は右後ろだった。
ただの右後ろではない。
右足元だ。
すぐ後ろにいる。

とたんに血の気が引いた。
振り向こうにも勇気が出ず、俺はひたすら前だけを向いて歩いていた。
気配は俺の足元を這ってついてくる。ずり、ずり、ずり、・・と這い寄る音まで頭の中に響く。
するとその気配が、視界に捉えたわけではないのに脳内に鮮明に姿となって現れた。
小さな女の子だった。肩ぐらいまでの黒髪。白い服。匍匐前進をするように、俺の足元に這い寄ってくる。

俺は声を失った。
相変わ

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コメント(1)

中途半端な霊感を持つ人って.....自分だー‼︎マジか。

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