さが増してきました。道が曲線のせいで、進む先が見えづらく、自分が今どこにいるのか分からなくなりそうです。
私はまだブツブツとAに文句を言っていました。
私「どうして先に買い出しをしておかなかったんだ。こんな距離を歩くことになるなんて」
A「今日は車がある日だと思ったんだよ」
私「自分が車で来ればよかったのに」
そんな感じで、私たち2人の雰囲気は次第に悪くなっていきました。しかし、引き返そうにもこの不気味な道を1人で引き返すのは、もはや厳しいと感じます。仕方なく、険悪な雰囲気のまま、道を北上し続けました。
10分ほど歩いたところでしょうか。車道にはみ出しながら歩いていた私たちのはるか後ろから、波の音のほかに、エンジンの音とタイヤの音が聞こえてきました。私たちは急いで道の端に寄りました。やがて、ヘッドライトの明かりが近づいてきて、私たちの右側を白いバンが通り過ぎていきます。
すると、私たちの少し前でそのバンが止まりました。
なんだろう?と怪訝な顔で窺うと、助手席の窓が開き、短い金髪の青年が顔をのぞかせて、明るい口調で話しかけてきました。
「お兄さんたち、どこ行くんですか?」
私は近づいて、「この先のコンビニまで」と答えました。バンの中には、青年と同じくらいの歳の運転手のほか、1組の若い男女が後部座席に乗っていました。
「だったら、ちょうど通り道だし、乗って行きますか?」
この申し出は、正直とても魅力的な提案で、私の気持ちは乗せてもらう方に大きく傾いていました。
都会に住んでいる皆さんはどうか分かりませんが、私の住んでいた田舎では、通りすがりに知り合いを車で運び合う文化が残っておりました。
見ず知らずの人とはいえ、彼の明るい雰囲気と、それまでのAとの険悪なムードや疲れを考えると、ここで乗せてもらってさっさと買い物を済ませるというのは、私の中では合理的な考えだったのです。
金髪の青年が助手席から降りて、後部座席へのスライドドアを開けてくれます。
私は、迷惑ではないかと他の3人の様子を窺いました。運転手は特に何の反応もしていません。
後ろの男女はというと、酷く顔色が悪く、2人で身を寄せ合って震えていました。そのあまりの様子に、私は乗ることをためらいました。季節は春。震えるような寒さではありません。
私「あの、この人たち、大丈夫ですか?」
その時です。私の腕は、グイッと強く引かれました。車のドアから離されま
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コメント(6)
Aさんの機転がなければ、作者は連れてかれていたね
ハオ
金髪の青年たちが男女を崖から落としたのでは?と思ったんですが、車は北上していて崖からは遠ざかってるんですね…
ひよけむし
車は霊界への運び屋だったのですね!怖い~
霊子
本当にあった話なのかしら?
匿名
実際にあった話です…繁華街は大丈夫ですが人気のない夜道は今でも怖いです
ひよけむし
謎の多い本当に怖い話しでした。
匿名