私は、数年前に東北の某海岸で、堤防を作る仕事をしていました。

その海岸には、南北に走る直線の国道からゲートを入った東側に、曲線の道が海に沿うように伸びており、地図で見れば、アルファベットのDのような見た目になっておりました。

私の職場は、その海沿いの道の真ん中にある、広めの駐車場に建てられたプレハブの事務所です。
駐車場には車両の他に、堤防を作るための重機や材料が並べられておりました。
そのため、夜間は盗難やイタズラのないように、ゲートに鍵をかけて国道からの出入りを封鎖した上で、事務所に3人で泊まり込んで機材の管理をしていました。

ある日、私は2人の作業員、A・Bと宿泊管理の当番を務めていました。
1人ずつ仮眠が取れる上、翌日は休みになるため、この当番は比較的楽な仕事でした。私たち3人はテレビを見たり、夜食を食べたりしながら夜を過ごしました。

1時を回った頃でしょうか。Aが私たちに言いました。

A「なぁ、コンビニに行かないか?」

コンビニは北側のゲートから出た先にあり、徒歩で行こうとすれば片道20分はかかります。普段なら先に買い出しを済ませてから当番に臨むのですが、どうやらAはそのことを失念していたようです。

私「遠いし、今日は車もないから、行くとしても1人で行けよ」
A「この道、外灯も少ないし、建物もないから1人は怖いんだよ。人助けだと思って、頼むよ」
B「俺はパス。見回りの時間が近いし、2人で行ってくるなら俺が留守番しておくよ。こういうときのために3人いるんだし」

Bは、そう言うと早々に一抜けを果たしてしまいました。
結局、私はAの説得に負けてコンビニまで付き添うことになりました。北側のゲートの鍵を取ります。
Bを事務所に残し、比較的明るい駐車場を離れると、ポツリポツリと置かれた外灯の明かりだけが遠くに見える、長い長い暗闇が目の前に広がりました。海岸に寄せる波の音だけが辺りを包みます。
なるほど、これを1人で歩くのは怖い。国道に出れば多少は店や住宅もあるのでここまで暗いということはないのですが、この道は夜間に人が出入りすることをあまり想定していないように思えます。私たちは懐中電灯の明かりを頼りに、道を北上し始めました。

店や住宅、コンビニがあるのは国道の北側で、南側は切り立った崖の後、長いトンネルが伸びているだけなので人気はあまりありません。
しばらく歩くと、事務所が離れたせいか、ますます怖

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コメント(6)

Aさんの機転がなければ、作者は連れてかれていたね

金髪の青年たちが男女を崖から落としたのでは?と思ったんですが、車は北上していて崖からは遠ざかってるんですね…

車は霊界への運び屋だったのですね!怖い~

本当にあった話なのかしら?

実際にあった話です…繁華街は大丈夫ですが人気のない夜道は今でも怖いです

謎の多い本当に怖い話しでした。

ひよけむしさんの投稿

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