う1人の方は、こっち、助手席に乗ってもらっていいですか?」
と言って、助手席側のドアを開けました。

「えっ?我々3人だけだから他はいないよ!」
と私が言うと
「その方はお連れ様ではないんですか?だって外に立ってるじゃないですか?」
と言って運転手さんが振り向きました。

「あれ?おかしいな。さっきまであなた方のすぐ後ろに続いてましたよ。変だなあ…もういなくなってる。どこに行かれたんだろう?」
運転者さんは独り事のように呟きながら、助手席側のドアを閉めました。
なんとなく妙な雰囲気のままタクシーは出発し、実家に向かいました。

車内で私は妻へ
「さっき誰がいたんだろ?今朝の東京駅のホームで感じた視線の主かな?」
と私が小声で耳打ちすると
「なんか怖いね…。お化けってこんな昼間っから出るの?気味が悪くて気絶しそう…。」
怖い話が苦手な妻は少し青ざめた顔で言います。

「えーと、この辺ですよね。そこの角を曲がった辺りでいいですか?」
運転手さんが尋ねてきたので
「はい、そうですね。そこを曲がったら直ぐのところで止めてください。どうもありがとうございました。」
とお礼を言い、降車しました。

そしてタクシーが走り出そうとした矢先、娘が大きな声で
「ねえ、パパとママ!前の席に座ってるお姉さんにもバイバイって言わないとだめだよ!お姉さん、バイバイ!」
と、ニコニコしながら手を振ったのです。
娘の言動に、運転手さんを含め大人3人は凍りついて思わず見つめ合いました。

この後は視線も感じず何事も無かったのですが、今でも忘れられない出来事です。
娘に聞いてみても「知らないお姉さんが一緒にいたよ」というだけで、謎のままです。

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