くなる・・・どうしたらいいんでしょう?
と残高5万円の郵便貯金通帳を卓に叩きつけて絶叫するのであった。

4.困惑
私は老婆Aが何に困っているか以前に、何を言ってるのか理解できなかった。
金融機関の口座名義は戸籍上の氏名に限られ、戸籍上の氏名を変えるには家庭裁判所の審判が必要で、勝手に何度も変えられるはずがない。
貯金を下ろすにはカ-ドと暗証番号、又は通帳と銀行届出印があれば足り、氏名を証明する資料は必ずしも必要ない。
しかしそのような常識を老婆Aに短時間で理解させるのは不可能に思えた。

5.一貫性なき供述
老婆Aは他にも「昭和15年に妹が結婚したが、相手が悪い人で、それから変なことが次々と・・・」とも話したが、「変なこと」の内容を尋ねても説明はなく、妹が結婚したのが昭和25年に変わっていたりと、供述に一貫性がなかった。
答えに詰まると鬼気迫る表情で上記3.の話を繰り返し、残高5万円の郵便貯金通帳を卓に叩きつけながら、
「・・・にゃまえをかえろ、にゃまえをかえろ、と言われて・・。でもにゃまえを変えると、貯金が下ろせなくなる・・・。どーしたらいいんでしょう!!」
と半狂乱になって絶叫するのであった。その姿は心霊再現ドラマに登場する最恐キャラクタ-、老婆の幽霊そのものであった。

老婆Aが何らかの虐待・詐欺被害に逢っているならば、私は関係官庁へ通報するつもりで慎重に話を聴いていたが、上記3.の話を繰り返し、残高5万円の郵便貯金通帳を卓に叩きつけて絶叫するばかりの老婆に疲れ果てた。


6.神仏
この老婆は神仏に救いを求めるしかないと考えた私は、近所のD寺にある、有名な芝居のヒロインC様の墓参りを老婆Aに提案した。

すると老婆Aは目玉を丸くして驚いた。その顔には「オメエ、何バカなこと言ってんだ」式の蔑みの色が滲んでいた。
そして「墓参りで問題が解決するんですか?そのお寺にはお参りに行ったことがあるけど、◎◎正人像より奥には行かない方がいいって言われた。お寺の人にも『名前を変えろ、名前を変えろ』と言われて・・・・。でも改名すると貯金が下ろせなくなる・・・ど-したらいいんでしょうっー!!」
と残高5万円の郵便貯金通帳を卓に叩きつけて絶叫するのであった。

7.釈放
名刹といわれるD寺が、老婆に改名を迫るなど詐欺師まがいの振る舞いをするはずがない。
そこでようやく私は老婆Aの話が全部嘘で、遠回しにカネをせびっていたことに

この怖い話はどうでしたか?

コメント

防空頭巾さんの投稿

話題のキーワード

サクっと読める短編の怖い話

人気の怖い話をもっと見る
怖い話 怖い話アプリをダウンロード 怖い話アプリをダウンロード