まい、父は段ボールから遺品を手に取りまた一つ一つを燃やしていく、その時父がその人形を手に取り焚き火に入れ込むのを私は見届け

「これであの不気味な人形も供養されたな」と一安心しました




それから半月が経った頃でした、遺品供養も無事に終わり私自身もあの人形の事とかすっかり忘れていた頃でした

その日寺に二人の夫婦がやって来て、「住職と話をしたい」と、何やら重々しい雰囲気で、私は父にお客さんが来たと伝え、二人を客間に通し

それから住職と夫婦が何やら話をしていた、私はお茶出しをした後に、部屋の隅で話を聞いていました


夫婦の旦那「半月くらい前に、家のお袋がお寺さんに何か…お願いに来たと思うんですが」

そう言うので、私はあのお婆ちゃんの事だと気が付き

「あ…遺品供養のお願いに来られましたね、私が受付をしました」

そう答えると、私の父が「そのお母様がどうかされたんですか?」と訪ねると、夫婦の奥さんが答えた

奥さん「それが…半月前にここのお寺に来てから、主人のお母さんの様子がおかしくなって…

日中、ある木箱…でしょうか…その木箱を異様に大切そうにしていて、食事や寝るときや…はたまたお風呂に入るときまで大切そうに持ち続けていて

私達がそれを止めさせようとしたら凄まじい剣幕で「この子は生きてるんだ、やっぱり私が死ぬまで側に居てあげなきゃ駄目だったんだ」って怒鳴り散らして

一体全体何の事だか旦那も私も解らなくて…それから間もなく、お母さんは亡くなりました」

旦那「それで…亡くなった後に、あのお袋が凄く大切そうにしていた箱なんですが、生前お袋が異常に大切そうにしていたから…

気になり私達で中を確認してみたんです

…それを住職様にも見ていただきたくて、これをお袋は「生きてるんだ」なんて言って叫んでたんですが…何か心当たりはありませんか…?」


そう旦那さんは木箱を取りだし、蓋を開けて私と父に中身を見せた



その瞬間、最初は何がなんだか解らなかったが直ぐに何かが解った





白い蝋の塊と黒い糸のような物が沢山絡まり、赤色の布も混ざっていて、あちこち焦げた後のある塊










それは、あのとき亡くなったお婆ちゃんから私が預かって、遺品供養の時に父が燃やした所をハッキリと見ていた、あの“人形だったもの”でした

それを何故かお婆ちゃんは箱に詰めて大切そうにしていたと、一体全体どういう事なのか

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コメント(2)

紫雲 様、そうなのですね。 ご供養・お炊き上げの前に、魂抜きの手順があるのですね。 おっしゃる事、わかります。もっともな儀式の手順ですね。

そのお婆さんが何処で人形を購入したかは 分かりませんが……何等かの形で 人形に霊が入ったか 元々 魂入りの人形を購入したのかも知れませんが…どちらにせよ 魂を抜いてから お焚き上げ供養をしないと 何度でも帰り どんな形になっても持ち主の方の所に 帰って来ますよ。お婆さんの言う通り 生きていたのだと思います。生き人形はうちにもありますし…。

ぬーむさんの投稿

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