「ひとり弔い」の続きです
 今年は伯母の十三回忌、読んで頂ければ伯母も喜びます

 
 伯母に死化粧を施したくなり
 棺を開けてほしいと頼んだ

 いいですよ、終われば声をかけて下さい

 快く棺を開けて貰い
 自分が使っている化粧道具を取り出した

 化粧というものは血が巡り体温があって
 上手く施すことができるのだと
 紅をさしながら感じた
 化粧などしたことがない伯母は、どんなふうに感じているのだろうか
 そう思うと
 塗った紅を拭おうとした
 拭っても拭っても
 体温を失くした唇からは、上手くふき取ることができない

 ごめんね…伯母さん
 そのままでよかったのにね

 自分のしたことを悔いながら
 頼んだ切り花で伯母の顔を覆った
 切り花は百合ばかり…死者の匂いそのものなのだから
 百合を添えると赤すぎた口元が、少し笑っているように見えた
 陰影が伝えた伯母の気持ちなのだろうか

 斎場の火葬場まで付き添った時には
 心底疲れ果て睡眠不足のせいか
 視点さえ定まらない状態だった
 
 最期に見た伯母の顔はピンク色に染まり
 生きているように映った
 幻影なのかもしれない

 伯母が骨になるまでの間
 霊園のベンチに腰をかけながら
 薄幸だった伯母の人生を振り返った
 親戚中から嫌われ疎まれ
 何のために生まれてきたのか、とまで
 言われた伯母が不憫でたまらなかった

 火葬場の煙突から立ち上る煙を追いかけながら
 伯母が焼ける匂いに、化粧の甘い香りを感じた
 三月なのに春はまだ遠い
 白い半袖シャツを着た男性が
 緑のワンピースの女性が
 すっ~と目の前を通り過ぎた

 
 
 
 
 
 
  
 
 
 
 
 
 

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コメント(4)

匿名様、 日常から異空間と同化していますので、作りごとの 恐怖を描くのは苦手です そうですね、さらりと異界を 紹介できればと…コメントありがとうございます

人生は平等じゃない、本当は幸せになりたかったはず。見送ってもらえたことに感謝!

全然怖いと感じませんでしたし、霊的な現象の話には感じませんでしたが とても良い話でした

匿名さま  亡くなった人を見送る、供養する大切さを 伯母に教えられました コメントありがとうございます!

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