姉と二人で温泉に行く機会が巡ってきた
芸術家の姉が個展を開く場所が
私の住まいに近かったことから話は進展した

寛げる温泉を予約してほしいと
姉から連絡があると
姉妹ながら、二人で旅をすることは初めてで
またとない機会に、心を躍らせた

姉は幼い頃から美術に秀でていたわけではなく
絵画教室に通っていた学習歴もなかった
志望していた大学が不合格になり
慌てて受けた芸術系大学に進路を変えた
いい加減な選択だった
でも、守護霊に守られているのだろうか
生き方が良いのだろうか
才能が、ある時から開花し
この世の物とは思えない色彩を絞り出す芸術家
として高く評価をされてきた

海の中に建った露天風呂付個室温泉は、海原を見渡せる
最高の視界の中にあった
幼い頃のように一緒に露天風呂に入り背中を流しながら問いかけた
「お姉ちゃんは、ここから見える海の色もすぐに絞り出せるのね」
「すぐにではないよ、残像かな…」
独特な笑い声を立て、姉は目をクリクリ洗った

食事が終わり布団を並べて眠りながら
こんな機会がこれまでなかったことを悔やんだ
「お姉ちゃんとは部屋が別々だったし…こんな風に一緒に寝ることなんてなかったよね」
姉と手を繋ぎながら、吐息がかかるくらい近づいた
「ほんと、小学生の頃は2段ベッドだったよね、だから横に寝るなんて
 初め…て…ね……」
お酒も回ってきたのか、姉はそう呟きいつの間にか寝息を立てはじめた

静寂な夜、波音がしだいに遠くなり、いつしか眠りに落ちた
見られている
そんな感触に目覚めた
姉が私をじっと見つめている
恐くなり目を閉じた
数分して薄く目を開けると
般若のような形相で大きな目を開けている
背筋が寒くなり、布団を頭まで被ると丸くなった
恐る恐る、顔を出し
姉の顔を確認した
やはり大きな目は見開いたまま、私をじっと正視している

翌日、何事もなかったような姉に
恐々、問いかけた
「お姉ちゃん、昨日の晩、目を開けていた?」
「うん、見たの?」
姉の返答に驚いた 
「えっ…知ってるの?」

姉は目を閉じて寝たことがないらしい
翌朝、ドライアイで目が乾くけれど夢で見る残像はこの世の物とは
思えない色らしい
夜ごとに異界を徘徊しているのだろうか
「今頃知ったの?」
声高に笑う姉の才能の正体を知った私は
背筋から形容しがたい恐怖に包まれた





 

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コメント(12)

姉に、秘めた謎の力!

現実のホラーかな❓ ゾォーッとしました

俺と同じだね。般若のような顔はしてないらしいけど、鬼のような呻き声を発するらしいよ。

怖くて何度見ても同じ怖さ

目をクリクリ洗った=義眼 かと思いきや、ドライアイと来て混乱中

現実のホラーやね

この手の話いいね!ブラックユーモアかな

天才は異形のヒトガタを持つ…てな

~~さま、コメントありがとうございます! 姉は変わらず目を開けて寝ているようです(笑)

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