理由なんて無かった。
私はただ、遠くに出かけたいだけだった。

私は電車に乗っていた。
車両が一車両しかない、田舎の電車だ。
私は家族に許可を取らず、ましてや伝える事もなく、携帯も持たずに鍵と財布だけを持って家を飛び出した。
小学六年生の事である。

「やっと着いたよぅ」
私と一緒に遠出をしたAが呟いた。
二人で電車に乗り、やはり田舎な駅に着いた時だ。
私はAの独り言に顔をしかめつつ、Aに聞いた。
「……で、お前はどこに行きたい?」
「何も考えてないけど。適当にご飯食べよう」
私とAは近くのファーストフード店に入った。

一時間後。
ファーストフード店から出た私たちは、適当にそこら辺をぶらついていた。
道の途中、お化け屋敷を見つけたので、
私たちは当然、何の迷いもなく中に入った。
Aは楽しそうに叫んでいたのだが、私はどうにも面白くなくて叫ぶも何も無く、
ぶらぶらと迷路を楽しんだだけだった。

外に出ると、ある事に気がついた。
Aがいない。消えていた。
私はAの名前を呼びながら、そのお化け屋敷の周りを走っていると。
「あ、いたいた!」
なんと、Aがこう叫びながらこちらに向かって走ってきたのだ。
そして、言った事がこれだ。
「もう、どこ行ってたんだよ!俺が五百円落としたから一緒に探してって言ったのに、いなくなっちゃうし。五百円諦めて、お前を探してたんだぞ!」
私は最初、訳が分からなかったのだが。
一緒にお化け屋敷に入ったのは誰なのか?
それに、五百円……。


お化け屋敷に入る時に使った金額だった。

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コメント(1)

その五百円、誰かが使った、っていう事ですよね?

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