気がした。
自分の間抜けさに少し笑えてきた。
「はは、なるほどね。そりゃあ違和感を感じるわけだよ。俺、なんで今までずっと気づかなかったんだろ。」
つい口に出てしまった。
「違和感?何言ってんだ?」
友人は訝しげな目で俺を見る。
その表情を見て、慌てて返答する。
「い、いや、なんでもないよ。ごめん、独り言!」
非常に不謹慎だと思う。
恐怖よりも、「幽霊が見れるかもしれない」という好奇心が勝っていた。
ドアへ向き直り、鍵を開けて中に入った。
「ただいまー、と。」
そう俺が言うと、
「お邪魔しまーす。」
と言って友人も入ってきた。
「ああ、悪い。入ったら、鍵閉めてもらえるかな?」
振り返り、友人に言った。
「了解〜…、あら?」
友人の動きが止まった。
「どした?鍵の位置わからん?」
そう質問を投げかけると、友人が振り返り、
「なんか、鍵、もう閉まってんぞ。俺が無意識に閉めたんかな?」
友人が不思議そうな顔をしている。
俺も首を傾げながら、
「あー、閉まってるなら、おーけー。最近、物騒だからね。」
そう言って、部屋へ友人を促した。
それから、友人と一緒にテレビを見たり、ゲームをしたり、各々自由に漫画を読んだり。
適当に過ごした。
その間、特に何も起こることはなかった。
やはり、違和感は部屋に入る前だけなんだなぁ。
時刻は23時になっていた。
「やっべ、風呂入ってねーじゃん、俺ら。入ってからゆっくりしようぜ。」
漫画に熱中してた俺は顔を上げて慌てて立ち上がった。
「あー、俺シャワーでいいよ。今日暑いし、湯船いらんっしょ。」
友人が言う。
「だな。ささっとお互いシャワー浴びてしまうか。」
そう言って先に友人にシャワーを譲った。
10分ほどで友人がシャワーを終えたので、続いて俺が風呂場に入る。
頭を洗い、次に体を洗おうとしたときに、
ドサッ
部屋から重たい荷物を下ろすような音がした。
「眠くなったら、部屋の隅にある布団を使ってくれー。」
声をかけたが、反応はない。
まあ、風呂場で反響してるだけで、聞こえはしないか。
仕方ないなぁ、と思いながら、腰にタオルを巻いて一旦部屋へ向かった。
「眠くなったら、部屋の…」
同じことを部屋に入ってから言おうとしたら、友人が部屋の真ん中でうつ伏せで寝ていた。
「おいおい、そんな態勢で寝たら、息できねーだろ。起きろって!
この怖い話はどうでしたか?
コメント(2)
自分の事のようにドキドキして拝読。二人とも死ななくて良かったです。死んでしまってもただの事故で済まされてたから…
匿名
大作だったけど結局女と子供の正体は分からず仕舞いか残念
菜々氏