家の話を聞いてみた。
初めは口籠もり個人情報だなんだと言っていたが、夜にあったことを事細かに説明をすると、あっさりと語ってくれた。
初老の男性はもうかれこれ20年程その家に1人で住んでるそうだ。
彼には家族があった。
妻と息子と娘の4人家族だったが、妻に先立たれ男手一つで2人の子供を育てた。
妻は息子が14歳の時、娘が13歳の時に亡くなったそうだ。
2人の子供は非常に頭が良く、勤勉でそして仲が良かった。
思春期の複雑な時期での母の死。
父は生活の為仕事で家に帰る事が少なかった。兄妹は慰め合い、いつしか愛し合っていた。
彼らは歪な関係を育んでいき、その関係が社会から認められる事はなく、隣近所での噂が絶えなかった。
やがて兄は高校へ行く事もなくなり、妹を除いた人との関わりを拒絶する様になった。
いつの間にか精神を病んでいった。
いや既に病んでいたのかもしれない。
動物を弄ぶ様になり警察のお世話になることも多かったという。
そんな兄を庇い続けた妹だったが、彼女も次第に精神を病んでいった。
地域の人々から畏怖の眼差しで見られる日々。
それに絶えきれず、妹は自ら命を絶った。
兄は同じ時期に失踪をしている。
父である初老の男性は、様々な手を尽くして息子を探したが見つからず20年という歳月が経過していた。


「でもねぇ、、、、この間向かいの家の奥さんのお焼香に行ったんだけどね。
40代くらいかねぇ、、、男の人と女の人がいたのよ。
旦那さんは、親戚ですと言っていたけど、あたしが昔見たお兄ちゃんとお嬢ちゃんの面影があったんだよ。
それが気になってね、、、、
嫌だあたしったら、そんな訳ないのに。
ごめんなさいね、この話はこの界隈でも禁句だからね。」

その後夜中の不快な笑い声はすっかりなくなり、静かな夜を過ごす事が出来ている。



最近気になるのは、カーテンの隙間から視線を感じて嫌な気持ちになる事がある。
決まって部屋を暗くして眠ろうとする時、若しくは夜中に急に目が覚めて、ベランダに面する窓に掛かっているカーテンに目をやった時に感じる気持ち悪い視線。
カーテンの隙間が空いている時には、縦に2つの目が除いている様に見える。
時々、本当に時々、ベランダの鉄格子がギシギシとなる音や、2階のベランダからアパートの敷地内の小さな庭に飛び降りた様なドサッという音がする。

妙な胸騒ぎの中、錯覚である事を祈るばかりだ。

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コメント(4)

え? アパートに住んでいた頃の話、で始まっているのに最後はまだ住んでいる設定になってる?

引っ越さないでよく住んでたね!強い人だね感心‼

生きている人間だったとしても、幽霊だったとしても怖すぎる。。。。 生きててその向かいの家に居るのならどうやって警察から身を隠したんだろう。。。? その2人が家にいることを隠さないといけないような理由でもあるのかな

これは不気味だね その兄妹の生死がはっきり分からない

viiingさんの投稿

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