無しにその奇妙な符合をスマートフォンで調べてみたという。

「◯◯さん(私)と山井の話だと女の幽霊が、田口の話だと白蛇が、Oの話だと白蛇の姿をした七面様っていう神様の話が出てくるけど……」

と、そこで佐渡は話を区切り、たった今調べ終えたスマートフォンの画面を私達に見せた。

そこには「七面天女」と呼ばれる存在に関する項目が映し出されていた。

七面天女、或いは七面大明神と呼ばれるそれは、日蓮宗系において法華経を守護するとされる女神であるらしい。

古くは日蓮宗総本山である身延山久遠寺(山梨県)の守護神として信仰され、日蓮宗が広まるにつれ、法華経を守護する神として各地の日蓮宗寺院で祀られるようになった。

仏教系の神仏なのかと思ったが、どうやらそうでもないらしく、元々は山の池に住む龍神(蛇)としての土着信仰の対象が仏教の波及と共にその姿を変えたようだった。

「白蛇の七面様も、単なる蛇じゃなくて女の姿をした蛇だって事だよねこれ」

と、佐渡が声を落としてそう言った時、私達は全ての話が奇妙な所で部分的に繋がった事に気付き寒気がした。

七つ首峠と、七山の井戸に立つ女の幽霊が天女とは思えないが、七山に出た白蛇と、白蛇を祀るOのお社、そして七面様が女の姿をした蛇神であると言う奇妙な符合は、私達の口を少しの間でも閉ざすのには十分過ぎた。

誰ともなしにそろそろ話を辞めようか、という雰囲気になったのはむべからぬ事である。

その後も飲み会は続き、気づけば全員が狭い部屋の中で雑魚寝状態で朝を迎える事になった。

翌朝、Oの家を出る際に全員でそのお社へ向かってみようという話になった。

家の裏口から出て山中を突っ切る形で伸びた細い坂道を登ると、こじんまりとした社が見えたが、雰囲気は重く、朝の静けさとは違った、一種独特な寂しさと静寂が辺りを包んでいた。

全員でぐるりと社の周りを散策して、帰路につく際、私は社の後ろ本殿と思われる位置に隠れるようにして作られている古びた井戸を見つけた。

神社に井戸がある事など何ら不思議ではないのだが、昨日の怪談話をなぞるような再びの符合に私は少しだけぞっとした。

井戸には岩蓋がしてあり劣化具合からかなり長い間手付かずの状態であることがうかがえたが、近寄る気にはならなかった。

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コメント(1)

柳田邦男的な伝説ですな

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