都会のマンションに実家暮らしをしている大学生の男がいた。その男は夏休み中、夕方から23時まで飲食店でバイトをしていて帰宅するのは夜中の1時頃。遅めの夕食を食べてからは本を読んだりゲームをして過ごす事が多くなっていた。

その日は普段通りバイトから帰宅して食事を済ませ、ゲームをしていると玄関に新聞が届いた。いつもは父親しか読まない新聞を開いて、事件や政治の記事、4コマ漫画なんかを読んでいると朝の3時過ぎにセミが鳴き出したのでマンションのベランダに出てみた。

ベランダから下を見下ろすと新聞を届けて走る新聞屋と遠ざかっていくバイクの音、こんなに朝早くから犬の散歩をする人、遠くに走る車。普段起きていないと見られない街の風景に男はワクワクした。

するとマンションの下から自転車のベルを何度も鳴らす音が聞こえたので、何をしているんだろうと再び下を見下ろすと目を赤くした男と女が口を大きく開けたまま男を下から見上げていた。男と目が合っている。2人とも肩が大きく上下に動いていたので、呼吸を整えているような感じだった。自転車のベルはずっと鳴り続ける。

ジリジリジリジリジリジリと鳴り止まない自転車のベルに腹を立てた男はベランダから2人を怒鳴りつけた。
「うるさい、うるさい!車も人も滅多に通らないのに、こんな朝早くから自転車のベルなんか鳴らすな!!」
嫌なものを見たと部屋に戻った男は気を晴らす為に読みかけの漫画を読み始める。

そこを犬が通りかかって、男と女の乗る自転車に向かって吠えているようだった。自転車のベルは鳴り続けている。その吠える犬を止めようと飼い主の声も聞こえている。耳に残るベルの音に嫌気がさしながらも再びベランダから下を覗くと自転車には誰も乗っていないのにベルが鳴り続けていた。さっきの男と女はいなかった。その近くで大きな犬が吠えていたのを止めるために、リードを引っ張って飼い主が足早に犬と歩いていく。

ベッドに潜り込んで携帯で適当に音楽をかけると部屋の中から、あの自転車のベルの音が聞こえてきた。
「うるさい、なんなんだよっ!!」再びベランダに行こうとすると
「ねぇ、」「僕たちのこと見えてたでしょ?」「ふふふっ」男は意識を手放した。

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