別に霊は出てこないが、ちょっぴりゾッとしたことがあったので書いてみる。

2年前、大学進学の関係で大阪のとあるアパートで一人暮らしをすることに。

自室はB棟の210号室。

玄関を出ると左右に廊下が広がっていて、目の前には向かいの棟、A棟のベランダがずらりと見える。

初めての一人暮らし。深夜外出していても親に文句を言われないのが新鮮で、夜な夜な散歩するのが日課になった。(そのせいで遅刻も多かったけど)

そんな訳で、散歩した日の帰宅は、だいたい午前2時から3時頃だった。

ある日、いつものように散歩を終えて帰宅した時に、ふとあることに気がついた。

思えば、私が夜中帰宅する時、必ずと言っていいほど向かいのベランダの部屋の明かりが点いているのだ。

深夜の部屋に明かりが点いているのは、別に何ともないのだが、妙なのは表から見える部屋の様子であった。

いつもカーテンは開けっ放しで、蛍光灯に照らされて見える部屋の中には家具ひとつ見当たらない。

人が住んでいないなら明かりは消えているだろうし、住んでいるなら少しは生活感があってもいいものだが、全くと言っていいほど人が住んでいる感じがしなかった。

まぁ、所詮は余所事な訳で、私は「変なの」と思う程度で、特別気にはしていなかった。

入学から数ヶ月。深夜遊びすぎて単位がやばくなってきたので、朝起きて、しっかり学校に行くようにした。

いつもより少し早く目が覚めた日に、余裕を持って家を出たときのこと。

本当に何気なく、ベランダの方に目をやった。

カーテンが閉まっていた。

と、ここで私の全身の毛が逆立った。

閉まっているカーテンの隙間から、誰かがこちらをじっと見ている。

見間違いかと思ったが、他でも無い私(もしくはその周辺?)を凝視している。

カーテンの隙間は暗くて、顔までははっきりと覚えていない。正直、顔だったかどうかも分からない。

私はすぐに目をそらして、逃げるように登校した。

別にその後恐ろしい現象が…といったことは全く無かった。たまに部屋を出た時に、恐る恐るベランダを見るのだが、誰かがいたことは一度もなかった。

こんな不可解な経験は初めてだったので、ゾッとした。

現在は別の住人(おっさん?)が住んでいるようで、窓際のソファに腰掛けて、しょっちゅうゲラゲラと笑う声が聞こえる。

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てんてこまーい

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